ロゼッタストーンの日本語版の口コミ、レビューです。私は日本人ですが、このソフトを使ってみてその感想をまとめています。日本語教育の教材として、日本語学習者の独学教材として使えるかどうかという観点からまとめてみます。
なお、記事中に使用している画像は販売元に許可をいただいて、私がキャプチャ撮影したものです。
日本語ネイティブの私がレビューを書いている理由
まず最初に私は日本語ネイティブですが、なぜ日本語教材のレビューを書いているのか疑問に思う人もいるかもしれないので、その理由を書いております。
先日の記事にも書きましたが、私の周りには、日本人と日本人以外との間に生まれたハーフやクオーターの子どもがいます。彼らの両親の悩みは、「子供が日本語を話さなくなった」ということ。
特に海外に住んでいる日本人ハーフ(クオーター)の子どもは、幼少時には少し日本語を話せても、よほど努力をしない限り成長に伴って日本語が話せなくなることの方が多いようです(日本人学校に通う子どもを除く)。
そんな子供はたいてい、「日本語は聞いて理解できるけど話せない」「話そうとしない」子どもたちです。でも、日本人のご家族にとっては日本人なんだから日本語を話してほしいという願いは捨てきれません。彼らを目の当たりにして、日本語教材についてもいろいろ考えるようになりました。
そういうわけで、ネットでロゼッタストーンのことを知り、自分で試してみることにしました。彼らのように子供に、何とか日本語を忘れないでいてほしいと願うご両親やご祖父母が教材購入を検討するときの参考としていただければ幸いです。
また、ノンネイティブに日本語を教えるときの教材という観点からも、レビューを書いてみます。
ロゼッタストーン日本語の内容
ロゼッタストーンの日本語は、3レベルで構成されており、合計12ユニットに分かれています。それぞれのユニットは、文法や発音、読解、リスニング、語彙、復習などのセクションに分かれています。1レベルの所要時間の目安は30~50時間ですから、全体で90~150時間分のレッスンが収録されていることになります。
ロゼッタストーン日本語の難易度
私は、日本語教師ではないので、ロゼッタストーンの日本語版のレベルが、日本語検定等のどのレベルに相当するかということはわかりません。しかし、3レベルをすべて終了すれば、日常生活に必要な日本語はほぼカバーされているといっていいと思います。
レベル2では、道を尋ねたり過去・未来の表現が出てきますし、レベル3になると、意思や仮定表現の一部や細かい助詞の使い方も含まれています。
ただし、私はやはりネイティブ(笑)ですので、一部「日本語学習テキスト」ならではの不自然さを感じますが、それは仕方ないのかなとも思います。レベルも3までしかないので(英語やフランス語はレベル4まである)、それをすべて終了したからと言って、日本語ネイティブのように話せるレベルにはいかないでしょう。
音声認識と発音トレーニング
ロゼッタストーンのソフトがすぐれているのは、その音声認識です。ネイティブの後に続いて発音練習しますが、うまく発音できないと不合格となります。ですので、ネイティブの発音に近づくように、繰り返し練習することになります。
文字を見ないで発音を練習する
画像は道を尋ねるシーンですが、この練習では文字が現れません。学習者は図や写真だけを見て、ネイティブの発音を真似て繰り返す必要があります。文字を見ながら発音するよりも、さらに難しい発音トレーニングです。
ディクテーション(書き取り練習)
ロゼッタストーン日本語には、書き取り練習(ライティングレッスン)も含まれています。初級段階では、ひらがな、カタカタとローマ字表記とを関連づけて覚える練習、レベル3になると長文を耳で聞いてローマ字でタイプする練習になります。
残念ながら漢字はカバーされていませんが、ローマ字とひらがな、カタカナは自由に操れるようになるでしょう。
会話の空白をスピーキングで埋める練習
また、各ユニットの最終には、総まとめとして「マイルストーン」というセクションが設けられてます。これは、写真を見ながら会話の空白部分を発音して埋めていくという作業になります。
そのユニットで学んだことの総復習となり、あたかも自分がその場に参加しているように、相手に質問したり相手の質問に答えたりして、会話を成立させていくという流れになっています。
日本語教育の教材として使えるか
先ほども言いましたが、私は本職の日本語教師ではないので、あまり確実なことはいえません。しかし、チューターとして日本語を教えるなら、このソフトの活用はとても便利です。
このソフトをレッスンの合間に挟むことで、他のテキスト本などを使わなくても体系的な日本語を実践的に学ばせることができます。ロゼッタストーンのコンセプトは、母国語を使わなずに言語を習得するということですので、母国語による文法の解説などは一切ありません。
ですので、日本語学習者は、あらかじめ基本的な文法を理解してから、ロゼッタストーンに取り組むべきでしょう。そういった意味でも、日本語レッスンの一部としてこのソフトを利用することは、とても意味のあることだと考えます。
子どもの日本語教育にもおすすめ
また、パソコンの操作で日本語のトレーニングができますから、これを子供さんのPCにダウンロードしておけば、ゲーム感覚で日本語の練習ができるでしょう。しかも、自分で発音しないと前に進みませんから、「日本語を聞いてわかるのに話さない」子供さんのトレーニングにもピッタリです。
ただし、販売元に確認したところ、このソフトは海外からの購入はできません。ですので、海外在住の方は日本にいるときに購入するか、日本の家族に頼んでみてくださいね。