ロゼッタストーン英語(アメリカ/イギリス)を実際に使ってみたレビュー記事です。独学で英語をマスターしたい人、やり直し英語、英会話レッスンを始める前の準備学習としての教材を探している人に、おすすめの英語学習ソフトです。
ロゼッタストーンでできること、その特長についてまとめていますので、購入を検討している方は参考にしてみてください。
なお、記事中に使用している画像は販売元に許可をいただいて、私がキャプチャ撮影したものです。
独学で英語を学習することのデメリット
まず、私がロゼッタストーンをおすすめするのは、英語の独学教材としてです。もしくは英会話レッスンを並行して受講しながら、会話力の基礎スキルを底上げするためのツールとして使えるソフトだと考えています。
その理由について、英語独学のデメリットを考えながら説明します。
1.双方向性=インタラクティブな練習
英語学習をまず独学から始めたいという人は多いです。日本人の場合、学校教育で基本的な英語文法は身についていますから、独学で英語を習得することもある程度のレベルまでなら、難しくありません。
しかし、どんな言語に関しても独学のデメリットは、「双方向性」に欠けることです。最近では、「インタラクティブ」ともいわれますが、双方向性とは「お互いのやり取り」ということです。
言語学習はコミュニケーションを成立されるための手段として行うものですが、独学は基本受動的なものですから、会話のキャッチボールの練習はできません。言語のインプットは容易にできますが、アウトプットの練習はなかなか独学では難しいところです。
その独学におけるデメリット「双方向性」をカバーしてくれる教材として、強くおすすめしたいのがロゼッタストーンです。
2.正しい発音の習得
もう一つ英語を独学で学ぶときの大きなデメリットは、正しい発音練習が難しいという点です。英語の音声教材はとても豊富ですし、インターネットを利用すれば、いくらでも無料で手に入ります。しかし、その音声素材で話される英語が正しく発音されているか学習者に判断するのは難しいところです。
英語にもアメリカ英語やイギリス英語だけでなく、多くのアクセントがありますので、どれが「正しい発音」かは断言できないものですが、少なくとも英語学習者として「通じる発音」を身につけたいものですよね。しかし、独学で「通じる発音」を身につけるのは非常に困難です。
その点に関してもロゼッタストーンは優秀です。ロゼッタストーン発音練習については下に詳しく述べていますが、通じる発音を身につけることは実際の英会話のシーンで非常に重要です。
自分の発音に自信を持てれば、会話にも積極的になれますし、「正しい発音」と「正しいリスニング」は1枚のコインの表と裏のようなもので、同時進行でレベルアップするからです。
ロゼッタストーン英語(米/英)の内容とボリューム
ロゼッタストーンの英語にはアメリカ英語とイギリス英語があります。どちらを選ぶかは、英語を学ぶ目的に合わせて決めると良いでしょう。
なお、私はどちらのバージョンも使ってみましたが、その違いは大きいです。特に発音と語彙の点で両者には隔たりがありますので、最初に教材を選ぶときには慎重に選ぶことをおすすめします。
どちらのバージョンも、5つのレベルから構成されています。それぞれのレベルは4つのユニットに分かれ、さらに細かいレッスンに分割されます。レッスンには、文法、リスニング、読解、ライティング、会話、発音、復習などがあります。
これらのレッスンが変則的に配置されているので、学習者は自動的に総合的な英語スキルを鍛えることができます。
各レベルの所要時間は30~50時間が目安となっていますので、5つのレベルを終了すると合計150~250時間分のレッスンボリュームになります。毎日1時間のレッスンを週に3回行えば、1年で約150時間になりますので、それ相当の学習ができるといってよいでしょう。
ロゼッタストーン英語(米/英)の特長
1.日本語を介さずに英語のままインプット→アウトプット
ロゼッタストーンのコンセプトは、母国語を使わずに外国語を習得するということです。ですので、レッスンには日本語による解説などは一切ありません。
英語の音声や文字を直接画像に結びつける練習を繰り返すことで、日本語を介さず、英語でインプットして英語でアウトプットするスキルを身につけることができます。
2.視覚的に発音をトレーニング
ネイティブの発音と自分の発音を視覚的にチェックできるのも、ロゼッタストーンの大きな特徴です。
上の画像はネイティブの発音と私の発音の波形です。緑のグラフはアクセントの強弱、白い線はピッチの高低を表しています。この波形を見ると、私の発音はネイティブのものに比べて音の高低幅が小さいことがわかりますよね。
ネイティブと自分の発音を聴き比べることもできます。波形が近くなるようにアクセントや音の高低を練習することで、ネイティブの発音に近づくことができます。この練習を繰り返せば、独学でも実践で使える発音を身につけることができるでしょう。
3.徹底したリスニングの練習
通常の独学では、リスニングのうち「多聴」は練習しやすいものです。しかし、本当に自分が英語を聞き取れているのか、という確認をするのは難しいですよね。
ロゼッタストーンのリスニングでは、ネイティブの発音を聞いて正しい写真を選ぶトレーニングが繰り返し行われます。最初は文字が現れていますが、レベルが上がるにつれて文字が出現しなくなり、ネイティブの音声のみを頼りに画像を選ばなくてはいけません。
リスニングからディクテーションへ
総合的な英語力を鍛えるにはディクテーション(書き取り)が効果的です。ディクテーションとは、文字を見ないで聞き取った文章を文字に起こすという作業です。正確なディクテーションを行うには、リスニング力はもちろん、語彙力、文法力、正しいスペリング力が必要となります。
通訳の基本的訓練としても行われる練習方法で、英語の総合的なスキルを磨くには最適な方法の一つです。
ロゼッタストーンには、このディクテーションの練習が組み込まれており、レベルに合わせたトレーニングが可能です。文字なしでネイティブの発音だけを聞いて、それをキーボードでタイプしていきます。
リスニング練習をさらにアップグレードさせた練習方法です。音声をただ聞き取るだけでなく、冠詞や動詞活用を含めた文法知識や語彙力をフル活用して、英文を書き起こすことになりますので、英語の総合的なスキルアップになります。
4.英語の瞬発力を鍛える
ロゼッタストーンでは、母国語の仲介なしに音声、文字、画像を直接結びつける練習を繰り返し行います。そのため、音と視覚で直感的に記憶し、それを必要な時にアウトプットすることで、英語に対する瞬発力を養うことができます。
実際の会話場面では、英語を日本語に訳している暇はありません。このソフトで瞬発力をトレーニングしておけば、実践の場での英語即戦力になるでしょう。
5.インタラクティブな実践会話の予行練習
ユニットの最後には「マイルストーン」というセクションが設定されています。ここでは、自分も登場人物の一人になって、空白の部分を発音しながら会話を成立させていきます。
そのユニットで学んだ内容の総復習にもなり、実際の会話をしているようなリアルなトレーニングができますので、実践会話の予行練習としてとても有効です。
ちなみに、画像の中の文章「I’m going to the museum.」の「the」が薄いグレー色になっているのは、私がうまく発音できなかった箇所です。正しく発音することと、正しい文法で文を構成する力が求められます。
ロゼッタストーン英語で学べるシーン
最後にロゼッタストーン英語のユニット構成について、紹介しておきます。
レベル1
1.言語の基礎:キャンプに出かける、持ち物を尋ねる、行動を尋ねる など
2.あいさつと紹介:バスに乗る、挨拶する、名前・年齢・出身地を尋ねる など
3.仕事と学校:ホームパーティを行う、友人を紹介する、仕事・趣味を尋ねる など
4.ショッピング:買い物をする、値段・サイズを尋ねる、お礼を言う など
レベル2
5.旅行:美術館へ出かける、車を運転する、時間・道順を尋ねる など
6.過去と未来:空港でのやりとり、過去の出来事・今後の予定を尋ねる など
7.友人と社会生活:パーティーに誘う・準備する、天気・時間を尋ねる など
8.食事と休日:休日の過ごし方について語り合う、セイリング・食事を楽しむ など
レベル3
9.家庭と健康:怪我・安否を気遣う、ものを勧める・断る、掃除する など
10.暮らしと世界:助けを求める、生い立ちを尋ねる、食事に誘うなど
11.日常の物事:新居でのやりとり、感想を述べる、考えを伝える など
12.場所と出来事:出かける支度をする、お祭りに出かける、値段交渉をする など
レベル4
13.観光とレクリエーション:観光に出かける、ツアーガイドの説明を聞く、レストランでのやりとり など
14.職業と趣味:プレゼント探し、職業・趣味を尋ねる、荷物を送る など
15.街中や自宅にて:アパート探し、自宅・車の故障・修理 など
16.ファッションと健康:病状を尋ねる・気遣う、衣類の修繕を依頼する、パーティでのやりとり など
レベル5
17.ビジネスと産業:仕事について詳しく尋ねる、お土産を買う、会う約束をする など
18.芸術や学術:趣味・嗜好を尋ねる、映画について語り合う、お薦めを尋ねるなど
19.緊急事態:症状を尋ねる、手当の方法を伺う、事故の状況を詳しく説明する など
20.家族とコミュニティ:地域のボランティア活動に参加する、週末の過ごし方を尋ねる、近隣の人たちと会話する など
(販売元サイトより引用。)
自信が付いたら英会話レッスンで応用してみよう
ロゼッタストーン英語は、独学教材としてとても優れたソフトです。特に、今まで独学で英語を学んできたけど、英会話レッスンを受講するのは自信がないという人は、このソフトで会話の予行練習を行えば実際の英会話に自信が持てるようになるでしょう。
ただし、ロゼッタストーンを終了したからと言って、それだけでは英語はペラペラにはなりません。最後にがっかりさせるようで申し訳ありませんが、どんなにすぐれた教材にも独学には限界があるからです。
ですから、ロゼッタストーンで発音に自信がついたら、ぜひ英会話レッスンにチャレンジしてみてください。ロゼッタストーンである程度のトレーニングを行った後なら、ネイティブとの会話にも十分ついていけるはずです!