英語の「used to+動詞の原形」は学校の英文法でも習う基礎の一つですが、英語の時制の中でもおもしろい表現です。
英語ネイティブの日常会話でも頻繁に登場する「使える表現」なので、ぜひ使いこなしたいものですね。
似たようなフレーズに「be used to」があり、こちらと混同してしまう人も多いです。そのため英語の試験でも良く出題されるポイントです。
used toの使い方とbe used toとの違いについて、おさらいしておきましょう!
「used to+動詞の原形」の使い方
「used to+動詞の原形」は、過去に起こっていたことで、なおかつ今はもう同じ状態が続いていないことを表します。
例えば、
(彼は昔タバコを吸っていた=今は吸っていない)
日本語で単に「彼は昔タバコを吸っていた」という場合、今も吸っているのか、今は吸っていないのかは明確ではありません。
しかし、「used to+動詞の原形」を使って「He used to smoke.」というと、「彼は以前タバコを吸っていた」というのと同時に「今は吸っていない」ことを示すことができます。
言い換えれば、
(彼は以前タバコを吸っていたが、今はもう吸っていない)
となり、「He used to smoke.」という短い文章の中で、同じ内容を表すことができます。
例えば、以前は安くて庶民の食品だったイワシも最近はすっかり高くなってしまって、普段の食卓に登場しなくなりました。このような現象も
(イワシは以前とても安かったけど、今はすっかり高級魚だね)
ということができます。
「used to」の否定形
「used to+動詞の原形」は否定形にして使うこともあります。
(あの店は以前あんなに忙しいことはなかった)
というと、今のそのお店はとても繁盛しているということになります。
これも「used to」を使わずに言い換えてみると、次のように表現できます。
(あの店は以前はそんなに忙しくなかったけど、今はとても繁盛している)
日本の食生活もずいぶん変わってきたものです。例えば、
(日本では、昔はチーズは人気がなかったけれど、今ではみんな大好きだよ)
また、人は誰でも老いると性格に変化があるものですが、年を取るに従って頑固になる人は少なくありません。
(彼は昔はあんなに頑固じゃなかったのにね)
こんな風には言われたくないものですが…。
「used to」の疑問文
「used to」は疑問文でも使われます。
(以前はタバコを吸っていましたか?)
これは、相手が現在はタバコを吸わないことをわかっていることが前提となっています。
また、「used to」の否定文と疑問文では、いずれも助動詞のdidを使いますが、「used to」の形は「used to」のままでも「use to」としてもOKということになっています。
発音は同じですので、会話ではあまり深く考える必要はないでしょう。
be used toとの違い
似たような表現に「be used to」がありますが、これは「~に慣れている」という意味のフレーズになります。全く異なる意味になるので混同しないようにしましょう。
「be used to」の後には、主に動名詞(動詞のing形)や名詞を置きます。「used to」の後には動詞の原形が来ますので、文を見ればすぐに見分けることができるはずです。
(彼女は他人の苦情を聞くことになれている)
(彼女はチームで働くことに慣れていない)
be used toの過去形「慣れてしまった」
「慣れてしまった」というふうに過去形として使いたい時には、よく「have got used to」という形で使われます。
(彼らは毎日あんな風に通勤することに慣れてしまった)
実は我が家のインターネット回線は、一部衛星アンテナを使っています。先日、その衛星アンテナに不具合があり、数日ネットに接続できないというハプニングがありました。そんなときは、
(私たちはすでに四六時中インターネットに接続されていることに慣れてしまったけど、時にはネットから完全に遮断されるのも悪くない)
とポジティブに考えるようにしています。
「~には慣れない」と否定文で使うこともできます。
(近所の騒音にはいつまでたっても慣れるということがない)
こんな風に、苦情の気持ちを表すことができますね。
だんだん慣れてきたという表現
また、「だんだん慣れてきた」というときには、「be getting used to」という表現ができます。
(カナダの冬にもだんだん慣れてきたよ)
used toとbe used toとの違いを把握して使いこなそう!
used toの使い方とbe used toとの違いについて、説明しました。
「諸行無常」とも言いますが、何事も時間とともに移り変わるものです。今はぱっとしないビジネスがあるとき突然大きく成長したり、以前は美しかったあの人も年を取れば…と変化することも。
そんな時間による「変化」をスカッと1文で表すことができるのが、「used to」です。「be used to」との違いをきちんと把握して、効果的に使ってみてください。