「ブラック企業」を英語で直訳すると人種差別主義者といわれるかもしれない理由

「ブラック企業」を英語で直訳すると人種差別主義者といわれるかもしれない理由

数年前から「ブラック企業」という言葉をよく見かけるようになりました。ブラックは英語で「Black」と書き「黒」を意味することは皆さんもよくご存じだと思います。

英語ネイティブとの日常会話でも、日本の働き方や「サラリーマン」のことは時々話題になりますが、そんなときついうっかり「ブラック企業」を英語で直訳してしまうと、人種差別主義者のように聞こえてしまうことがあります。

ブラック企業と人種差別主義者(英語では「racist」)、いったいどういう関連性があるのでしょうか。

そもそもブラック企業とは?

企業、会社

私たちは日常的に「ブラック企業」という言葉を耳にしますが、本来の意味はどういうことなのでしょうか。

調べてみると、

「新興産業において若者を大量に採用し、過重労働・違法労働・パワハラによって使いつぶし、次々と離職に追い込む成長大企業」とも「従業員の人権を踏みにじるような全ての行為を認識しつつも適切な対応をせずに放置している企業」
出典:https://ja.wikipedia.org/

とも定義されるようです。

比較的新しい言葉なので、意味を正確に定義することは難しいかもしれません。感覚的には、「従業員に対して人権を踏みにじるような扱いをする企業や会社」といって差し支えないのではないでしょうか。

「ブラック企業」は現在の日本社会において、外国人から見れば独特の現象ですので、日本のことを話題にするときには会話に登場することもあります。

ブラック企業をそのまま英語に訳すと「Black company」となりますが、これは、英語で通じないばかりか、相手に不愉快な印象を与えてしまう恐れがあります。ですので、絶対に使わないことを強くおすすめします。

ブラックBlackの意味するところ

ブラック、ブラック企業

そもそも日本語で、「従業員に対して彼らの人権を無視した扱いをする会社」をなぜ「ブラック企業」と呼ぶのでしょうか。

それは、「ブラック」という言葉に「凶悪」「あくどい」といったネガティブなイメージが含まれているからです。

これは実は英語でも同じで、英語のBlackにも同じようなイメージがあります。例えば「ブラックリスト」は英語でもよく通じ、日本語で解釈されている意義とほぼ同じように使うことができます。

しかし、英語のBlackには「黒人の」という意味もあります。ここが、Blackという単語を容易に「ネガティブなもの」の象徴として使用すると、「レイシスト=racist、人種差別主義者」と受け取られかねないポイントなんです。

聞いている人に、Black=黒人=ネガティブなもの、という連想をさせてしまうためです。

Blackという単語を使う時は慎重に

人種、黒人、白人

これは、私が実際にしてしまった失敗です。日本のブラック企業のことを話題にしていて、ぴったりの表現が思い浮かばず、ついうっかり、こう言ってしまったんです。

That company is…, you know, kind of “black”, so….

ここで、人権問題に詳しい外国人友人は、「待った」をかけました。

「ちょっと待って、それってあまり英語で言わない方がいいよ。どうして、そこで“black”という単語を使うのかな。

まあ、意味は分かるし、英語でもブラックリストって言うけどね。とっても良くない言葉だと僕は思うけど」

と英語で言われてしまいました…(多分彼はもっと言いたいことがあったと思います)。

ブラックは「悪」でホワイトは「善」なのか

白と黒

ブラックもホワイトも、もともとは色を意味しています。しかし、いくつかの色にはある程度決まったイメージがあります。英語のように広範囲で話される言語においては、黒と白には常に肌の色への連想がつきまといます。

日本には、まだまだ外国人居住者は少数派です。そのため、肌の色とか人種のことを考えることはあまりないでしょう。しかし、外国に出てみれば日本人だって差別を受けることがあります。

アジアにいれば日本人はちやほやされますが、欧米諸国にはレイシスト(人種差別主義者)もいますし、その他の国においてはあからさまな行為や表現によって、肌が黄色い(Yellow)私たちは不愉快な思いをすることもあります。

想像してみてください。もしあなたに黒人の友人がいたとして、その友人と話をしているときに、従業員を不当に扱う会社のことを話題にしながら、

That company is…, you know, kind of “black”, so….

という風に言えるでしょうか。

なんて無神経な表現なんだろう、と思いませんか?

使い方に気を付けたい英単語

中国語巻舌音「shi」の発音方法

私はたまたま英語ネイティブと話をしているときに、この表現をしてしまい、指摘を受けましたが、もう二度とこんな表現はしないと心に決めました。

私たち日本人は、「ブラック」という言葉を無邪気に使います。しかし、外国人相手に話をするときや、海外では「ブラック」も「ホワイト」も慎重に使うほうが良いでしょう。

自分に人種差別主義的思想がなくても、相手には誤解を与えてしまいかねません。

ブラック企業を英語に訳するときは?

企業、仕事

最後に、じゃあブラック企業を英語でどう表現すればいいの?という話です。

私が一番しっくりくると思うのは、「a dishonest company」です。

dishonestは「不正直な」「不誠実な」という意味の単語ですが、これだけでは、誰に対して「不正直」なのかは伝わりません。ですので、さらに労働条件や従業員の扱いについて説明を加える方が正確に伝わるでしょう。

そのほかにもいろいろな表現ができますが、直訳する言葉は英語にはありません。海外ではこういう企業はどんどん淘汰されていくので、英語で新たな単語が生まれることもないと思われます。

私はこういうべきだったと思います。

That company treats their workers(employers) like slaves.
(あの会社は、労働者/従業員を奴隷のように扱う)

slaves(奴隷の複数形)という単語を使っているので、非常に強い意味になりますが、これだけで、「長時間労働、労働に見合わない報酬、従業員の私物化」など、さまざまな要素を含めることができます。

日本語で良く見る「ブラック企業」という言葉ですが、今から考えればもっと他の言い回しができなかったのか、とも思います。「ブラック企業」そのものも「ブラック企業」という表現も、早く絶滅してほしいですね。

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