distract と disturb, disrupt は、どれも「邪魔をする」という意味で使われる動詞です。意味は似ていますが、微妙なニュアンスの違いがあり、ネイティブはきちんと使い分けています。
今回は、distract と disturb, disrupt の違いと使い分けについて、例文を交えてまとめてみます。
disturb の意味と使い方
英語学習者にとって、おそらく最もなじみがあるのは「disturb」ではないでしょうか。
主に「誰かを邪魔してその行いなどを阻害すること」を意味します。
よくホテルの客室に「Do not disturb」というカードが置かれていたりしますね。あれは、客室の清掃が必要ない場合にドアの外に掲げておくためのものです。
そのほか、例文を挙げておきます。
Do not disturb your sister. She is taking an online English lesson.
(お姉ちゃんの邪魔をしないでね。彼女はオンラインで英語のレッスンを受けているので)
I’m sorry to disturb you, but there is an urgent phone call for Mr Yamada.
(お忙しいところ申し訳ありませんが、山田さんに緊急のお電話です)
Did I disturb you?
(お邪魔でしたか?)
「disturbing」とすると形容詞として用いることができます。
The neighbours always make disturbing noise.
(隣人がいつもうるさい)
また、「disturb」は「心配させる」「不安にさせる」といった意味として使われることもあります。
Some of the posts on social media could disturb users, especially younger people.
(ソーシャルメディアへの投稿は、特に若い人たちの心をかき乱す可能性があります)
This film may contain some disturbing content such as violence or strong words.
(本作品には、暴力や強い言葉など、心を乱す内容が含まれている可能性があります)
「disturb」にはもう一つ意味があり、「何かを物理的に動かして秩序を乱す」という使われ方をされることもあります。
As soon as we entered the gate, he noticed that the plants by the window were disturbed. Someone must have broken into the house.
(私たちが門を入ってすぐ、彼は窓際の植物が乱されていることに気づいた。誰かがこの家に押し入ったに違いない)
That night, the man sneaked into the office to take photos of the documents, but didn’t disturb anything.
(その夜、男は事務所に忍び込み、乱すことなく書類の写真を撮った。)
distract の意味と使い方
「distract」には「(注意力を)そらす」「気を散らす」という意味があります。形容詞は「distracting」になります。
They were working in a team. While some of the team distracted the staff, the others stole the things.
(彼らはチームで行動していた。チームの一部がスタッフの気を引いている間に、他のメンバーが物を盗んでいったのです)
Could you stop shaking your legs, please? It’s very distracting.
(足を震わせるのはやめてくれませんか?とても気が散ります)
Excuse me, could you say it again, please? I was distracted by the noise from outside.
(すみません、もう一度言ってもらえますか?外からの騒音に気を取られていました)
「~から気をそらす」「~から気が散らす」という場合は、前置詞fromを使います。
Please do not distract them from concentrating before the game.
(試合前の集中力を削がないようにお願いします)
If the noise of my meeting is distracting you from your work, I can go to the other room.
(私の会議の騒音で気が散るようなら、別の部屋に行くけど?)
He started the war to distract people’s attention from his misgoverning.
(彼は、自分の失政から人々の注意をそらすために戦争を始めたのです)
disrupt の意味と使い方
「disrupt」の意味は、「(行為や進行を)邪魔して中断させる」、「(物事の秩序を)混乱させる」になります。
組織やシステム、イベントなど、いつもならスムーズに進行するものを邪魔して、通常通り機能できなくさせる、といった場面においてよく使われます。
The stormy weather disrupted the train system in the city for five hours.
(荒天のため、市内の鉄道網は5時間にわたって不通となった)
The heavy snow may disrupt the power supply to the entire city.
(大雪のため、市内全域の電力供給に支障が出る可能性があります)
A group of protesters ran into the conference room and disrupted the meeting.
(デモ隊の一団が会議室に駆け込んできて、会議を妨害した)
Excessive consumption of caffeine and alcohol may disrupt your blood circulation.
(カフェインやアルコールの過剰摂取は、血液の循環を乱す可能性があります)
Those students’ bad behaviour disrupted the classroom.
(その生徒たちの悪行が教室を混乱させた)
名詞形「disruption」もよく使われるので、あわせて覚えておきたいですね。「~に対する支障/混乱」という場合、前置詞toを用います。
The train was delayed, apparently because of the disruption caused by passengers fighting on the train.
(電車が遅れたのは、聞くところによると乗客の喧嘩による混乱が原因らしい)
The labour shortage brought severe disruption to flights for several weeks.
(人手不足のため、数週間にわたりフライトに大きな支障をきたした)
distract と disturb, disrupt の違いと使い分け
distract と disturb, disrupt はたいていの場合、どれも「邪魔をする」と訳すことが可能です。よく似ているのですが、微妙にニュアンスや使用する場面が異なります。
ここまでに説明したことをまとめると、以下のように理解しておけばよいかと思います。
- disturb: (人や睡眠などを)邪魔する
- distract: 注意をそらす、気をそらす
- disrupt: 継続しているものを中断させる
さらに「disturb」は、その他の動詞よりもやや意味が広く、「(人を)不安にさせる=worry」「(ものを物理的に)動かす、乱す=move」という意味で用いられることもあります。
上手く使い分けできるようになるといいですね!