日本語でクレームというと、「苦情」という意味ですよね。理不尽な文句をつけて相手を困らせる人のことを「クレーマー」といったりしますが、英語ではそもそもクレーム(claim)の意味が日本語と違うので気を付けたいところです。
claimとcomplainの意味の違い
日本語では苦情を言って困らせる顧客のことを「クレーマー」といったりしますが、本来のclaimの意味は「当然の権利や要求を主張すること」です。
日本語の「クレーマー」はネガティブなニュアンスが強いですが、英語のclaimは必ずしもネガティブな意味で使われるわけではありません。
たとえば、飛行機で空港に降り立った時チェックインした自分の荷物を受け取る場所は「baggage claim」といいます。空港での英語表示もたいていこうなっているはずです。
ネイティブに言わせれば、厳密にいうとあれは「baggage reclaim」となるべきだという人もいます。もともと自分に所属する荷物ですから、「reclaim」と言うべきだというわけなんですが、まあそれは置いといて。
本来持っているはずの権利や要求を主張するclaim
ですので、「claim」という動詞自体には、日本語のクレーマーのイメージからくるような「苦情を言う」という意味はありません。
「claim」を使うシーンは比較的限られていて、例えば、保険会社に保険金を請求するときなどに使用します。
(彼は保険会社に保険金の支払いを請求した)
他には、海外旅行に出た時、その国で買い物した時に支払った税金は出国時に返金してもらうことができるケースがあります。
日本もそうで、日本に来た外国人(外国籍パスポート所持者や海外居住権を持つ日本人)はある一定の条件を満たせば、日本国内で支払った消費税を返してもらうことができます。それを英語で外国人に説明するとき、
(日本に旅行するときは、5000円以上の買い物の場合、税金の返金請求ができるよ)
と言うことができます(ただし、消費税返金の手続きはシンプルではないので、興味がある方は政府の公式情報を確認してください)。
ついでに言うと、消費税のように買い物の際に課せられる税金のことは、標準的に「VAT(Value-Added Tax=付加価値税)」といいます。
「苦情を言う」はcomplain
では、英語で「苦情を言う、文句を言う」というのはどういえばいいのでしょうか。
それにぴったりの英語動詞は、complainです。
(私たちは隣人の騒音について、大家さんに文句を言った)
My mum is always complaining.
(私のママは、いつも文句ばっかり言ってる)
Stop complaining!
(文句を言うな!)
You can write a formal complaint letter.
(正式なクレームレター=苦情レターを書くことができる→正式に書面で抗議してみたら?)
また、complainはそのまま使っても「苦情を言う」という意味になりますが、「make a complaint」という風にフレーズで使うことも多いです。
ここで注意したいのは、complainの名詞形は「complaint」になるということです。これは資格試験や受験でもよく出題されるところです。
正しく使いたいclaimとcomplain
日本語では、どうして苦情の多い人のことを「クレーマー」というようになったのか、よくわからないのですが、とにかく英語学習者にとっては紛らわしい単語ですね。
日本人学習者にとって、間違いやすいポイントですので、しっかりと記憶しておきましょう。また、complainは日常会話でもよく使います。
日本人は比較的苦情を言う(=complain)のが苦手な人が多いですが、外国人と交流するなら言いたいことをはっきり言うことは大切です。特に海外では、どんどんcomplainしてご自分の英語力を磨いていきましょう!