日本に「クイックルワイパー」という商品がありますよね(今もある?)。
スティックの先に、プラスチック板がついていて、そこにほこりを吸着させる布風の紙をつけて床を掃除するアレです。
似たような製品がこちら(カナダ)にもありまして、あまり頻繁に掃除しない私でもさっとフローリングを掃除できるので、重宝しています。
「クイックルワイパー」の「wipe」は間違い?
この日曜日にお買い物に出かけたのですが、そのクイックルワイパーもどきの、先につける付け替えシートを購入したかったのです。
それでお店で掃除道具セクションを探してみたんですが、なかなか見つかりません。
夫に「何をさがしているの?」と聞かれて、私は「床を拭く掃除道具の詰め替えシート」みたいな説明をしました。具体的になんといったか、はっきり覚えていないのですが、「拭く」という意味で動詞「wipe」を使ったところ、どうも夫はよく分からなかったみたいなんです。
けっきょくは自分ですぐに詰め替えシートを見つけて、「ほら、これこれ」なんて言いました。すると「ああ、sweeping のことか」といわれたんです。確かに、製品のパッケージを見ると「dry sweeping refills」と書かれています(冒頭の画像)。
ということは、クイックルワイパーで床掃除をするあの動作は「wipe」ではなく「sweep」が正しいのですね。
「wipe」と「sweep」の違い
「sweep」を辞書で調べてみると、
sweep:
to clean something, especially a floor by using a brush to collect the dirt into one place from which it can be removed
(床などをほうきで掃除して、汚れを一箇所に集めて取り除くこと)
と定義されています。主にほうきやブラシなどを使って床などを掃除することを指すので、日本語の「ほうきで(床を)掃く」動作はこちらの方がしっくりきます。
一方、「wipe」はどういう意味なのかというと、
wipe:
to slide something, especially a piece of cloth, over the surface of something else, in order to remove dirt, food, or liquid
(汚れ、食べ物、または液体を取り除くために、特に布のようなモノを他の何かの表面にスライドさせること)
日本語の「拭く」に近い意味を持っているように思えますね。ポイントは、「wipe」には汚れや何かを「拭いて取り除く」「拭きとる」という意味が強いということでしょう。
テーブルや床にある汚れを局所的に取り除くために、(ほうきではなく)布のようなものを使って拭くことは「wipe」になります。
英語日常生活における「wipe」と「sweep」
車の窓についた雨や水滴を取り除くために左右に激しく動く物体のことを「ワイパー」といいますが、まさにワイパーの行う動作が英語の「wipe」なのです。水滴などを取り除くために、表面をスライドしてくれるわけですから、間違いないでしょう。
そもそも日本のクイックルワイパーも、本来はそういう使い方が目的だったのかもしれませんね。床にこぼれたジュースやワインなどをサッと拭いてきれいにする、みたいな。
私のように、ほうきやモップ掛けの代わり的に使うものでは、そもそもないのかもしれません。
しかし、その類似製品の名前が「sweeping」と呼ばれているのですから、こちらの人は私と同じ感覚でその掃除道具を使っているに違いありません。
ちなみに、日本でよく見かけるウェットティッシュ。食事前にさっと手を拭いたり、最近ではウイルス殺菌のために使ったりしますよね。あれは英語では「wipes」といいます。通常1パッケージに数枚のウエットティッシュが入っているので、複数形「wipes」となります。
コロナウイルス流行以降、アルコール成分の入った「wipes」もよく見かけるようになりました。もちろん、我が家でも常備しています。
手についた雑菌やウイルスを拭きとって取り除くものですから、単語「wipes」(この場合は名詞)がピッタリなのです。