英文を書いていると、気が付くと文章が「but」だらけになっていることがあります。私はよほど「でも」「しかし」を使っているんだなぁと思うのですが、ところで「but」は文頭に置いてはいけないということをご存知でしょうか。
日常会話での口語では気になりませんが、英作文で「but」を文頭に置くのはNGなのです。じゃあ、他にどんな表現を使えばいいのでしょうか?
「but」以外にもたくさんある、逆接を意味する「しかし」「でも」を表現するための英語表現とその使い方の違いについて紹介します。
- Butは文頭に置いてはいけない
- フォーマルな接続副詞However
- Howeverより古臭い?Nevertheless/Nonetheless
- 逆接の文と文をつなげるAlthough
- AlthoughよりややカジュアルなThoughは文尾にも置ける
- 逆接ニュアンスの副詞Even
- 軽いButの代わりに使えるWhile/Whilst/Whereas
- Despite/In spite of+名詞句で「~にもかかわらず」
- Despiteに似た副詞Regardless
- Still「まだ~(だけど)」「なおも~(だけど)」
- 予想に反したことを述べるYet
- 文頭に置いてButの代わりに使える英語フレーズ
- butに代わる英語フレーズで表現の幅を広げよう!
Butは文頭に置いてはいけない
「でも」「しかし」「けれども」といった意味で気軽に使えるのが「but」ですよね。私も本当によく使います。英文を書いていると特に「but」といいたくなる箇所が多いのです。
「but」は文頭ではなく、文の半ばに置くのが正解です。逆接を意味する場合は接続詞として機能し、「,(カンマ)」で区切って使うことが多いです。
(彼女は頭はいいが、あまり実践的ではない)
(彼は事業に成功したが、生涯孤独を感じていた)
「but」はその前後に「句」や「節」を置いて、先に述べたことを反対のこと、違うことを述べるときに使います。
(君を怒らせたくはないが、でも君のやっていることは正しくないといわざるを得ない)
逆接といっても「軽い逆接」やむしろ並列的な意味あいで使われることもあります。
(彼はいい料理人ではないが、食べるのは得意だ)
butの便利な使い方として、「not only~, but also~」という使い方もあります。
(彼はいい料理人であるだけでなく、食べるのも得意だ)
(彼女は勤労であるだけでなく、効率よく仕事をするすべを身につけている)
気軽に使いやすいbutですが、文頭に置けないのが難点です。特に書き言葉では、butを文頭に置くのはNG。では、どうすればいいのでしょうか。
本当にbutは文頭に置いちゃダメ?
butは文頭に置いてはいけないという決まりがあります。ただ、それは正しい文法にこだわるシーンでのこと。
英語を含めて言葉は使う人と時代によって変化しますが、最近はカジュアルに英語でブログを書く人も増えています。そんな軽いノリの英語ブログでは、ネイティブでもbutを文頭に使って書いているブロガーさんはいますので、文法的に許容される日もくるかもしれません。
ただ、私は英語の文章を書くときネイティブに校正をお願いしますが、文頭の「But」はことごとく直されます。やはり正しい文法としては、文頭のButはNGだと覚えておく方がよいでしょう。
ただし、ライティングでも、小説や物語でのセリフではbutが文頭に来ることはよくあります。
例えば、
“But why didn’t you tell me that before?”
(明らかに彼女が私が彼女に言ったことに対して動揺しているようだった。
「でも、どうしてもっと早くそれをいってくれなかったの?」)
物語を語る文章であれば、このようにセリフをうまく使うといいかもしれませんね。
フォーマルな接続副詞However
butに代わる表現として便利なのが接続副詞「however」です。
「however」は「but」と違って、文頭、文中、文尾において使うことができます。「but」よりも少し硬い表現になりますので、「but」のようにカジュアルには使いにくい表現でもあります。英語のライティングだけでなく、フォーマルな場でのスピーチにもよく使われます。
品詞としては副詞となって機能し、文全体を修飾できます。
(緊急事態宣言の下、人々は自宅待機するものとなっている。しかしながら、ルールに従わず外出している人もいる)
(誰も統治者に過大なパワーを持たせたくはないだろう。しかしながらこの状況においては、政府は思い切った政策を行うべきである)
howeverには、逆接の接続詞的に使われる副詞として以外の用法もあります。それと区別するために、「しかし」「しかしながら」という意味で使う場合には「,(カンマ)」を忘れないようにしましょう。
Howeverより古臭い?Nevertheless/Nonetheless
日常会話ではあまりつかわれませんが、「Nevertheless/Nonetheless」という表現もあります。主に書き言葉で使われますが、やや古典的な雰囲気を持っています。
howeverと同様に使い、互いに置き換えることができます。however同様、文頭、文中、文尾に置くことができます(例文の内容は上の項目と同じ)。
(緊急事態宣言の下、人々は自宅待機するものとなっている。しかしながら、ルールに従わず外出している人もいる)
(誰も統治者に過大なパワーを持たせたくはないだろう。しかしながらこの状況においては、政府は思い切った政策を行うべきである)
逆接の文と文をつなげるAlthough
「although」は逆接の接続詞です。
後に文を伴って「~であるけれども」「~なのにもかかわらず」という節を作ります。文頭あるいは文中で使うことができますが、「although」の後には必ず完全な文を配置する必要があり、文尾に置くことはできません。
butやhoweverのように、適当な箇所に挿入するという使い方はできないので、注意しましょう。
二つの文をつなげることができる「although」ですが、「although」から始まる節は、前に来ても後に来ても問題ありません。意味も変化しません。二つの文は「,(カンマ)」で区切ります。
I don’t think she is very practical, although I agree that she is an intelligent person.
(彼女がインテリであることは認めるが、すごく実践的だとは思わない)*二文とも同じ意味
(経済は景気後退から回復し始めたように見えるにもかかわらず、失業率は以前として高いままだ)
(振り向かないように言われていたにもかかわらず、彼女は振り向かずにはいられなかった)
AlthoughよりややカジュアルなThoughは文尾にも置ける
「although」とよく似た逆接の接続詞に「though」があります。
使い方もよく似ていて、「although」を「though」に変換することが可能です。「though」は「although」よりもややカジュアルな印象があります。
I don’t think she is very practical, though I agree that she is an intelligent person.
(彼女がインテリであることは認めるが、すごく実践的だとは思わない)*二文とも同じ意味
「though」の特徴的な点は、「although」と違って文尾に置くこともできるということです。「~だけど」という感じで使うことができます。この場合は、品詞的に言うと副詞として働きます。
(けっきょく、箱を開けちゃったんだよね。彼には開けないように言われてたんだけど)
(納豆もそれほどまずくはないよ。私のお気に入りとはいえないけれど)
thoughはevenを伴って「even though」の形で使われることも多いです。
逆接ニュアンスの副詞Even
「even」は副詞(ときには形容詞)として機能しますが、「~さえ」「たとえ~」という意味を持っているので逆接の接続詞的に使われる場合もあります。
その場合は単体で使用されるよりも、他の単語とともに用いられることが多く、以下のような組合せがあります。
Even though=Although
「even though」という形で、「although」と同様に使うことができます。「~であるけれども」「ではあるが」「~であっても」という意味になり、逆接の度合いは少し強くなります。
「even though」の後には文を置きますが、主節の前後どちらに置くことも可能です。
(彼はひどい頭痛があったにもかかわらず、試験を受けに行かなくてはいけなかった)
(彼女がいつも誠実とは限らないことは分かっているが、それでもまだ彼女を愛しているんだ)
Even if「たとえ~であっても」
「even though」とちょっと違うのは、「even if」は仮定の話をしているという点です。「仮に~しても」「たとえ~であっても」という意味で使用します。「even though」と同様、主節と前後して使うことができます。
(たとえタクシーに乗っても、君はミーティングには間に合わないよ)
(たとえ頭痛があっても、明日は試験を受けに行かなくちゃ)
Even so, (前述したことを受けて)にも関わらず
「Even so,~」と前述したことを受けて、「それにもかかわらず」という意味で使えます。
(タクシーを拾った。それでも、ミーティングには間に合わなかった)
(彼女はひどい頭痛があったけど、それでもなお仕事に行かなくてはいけなかった)
軽いButの代わりに使えるWhile/Whilst/Whereas
接続詞「while」には、「〜する間に」という意味と「一方で」という意味があります。
本来は並列関係を表す接続詞なので逆接の意味は強くありませんが、2つの物事や出来事の対比を表すことができます。「~だが、一方で」という軽いニュアンスでは、butに置き換えて使うことができます。
英英辞書にも、以下のように「although」「but」に代わる接続詞として紹介されています。
while:
despite the fact that; although
compared with the fact that; but
出典:https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/while
whilstは「while」をよりフォーマルにした形です。
(君の感情には道場するが、君の上司が言うことにも一理あると思う)
(私は朝コーヒーを飲むのが好きだけど、夫はお茶の方を好む)
(彼女がほとんど家事をこなしている一方で、彼女の彼氏は皿洗いしかしない)
「while」「whilst」は「whereas」と入れ替えることが可能です。
(彼は仕事はゆっくりだけど正確な一方で、君は仕事が速くて効率的だ。全体的にいって、僕たちはいいチームだと思うよ)
Despite/In spite of+名詞句で「~にもかかわらず」
「despite」「in spite of」は、いずれも「~にもかかわらず」という意味として使うことができます。「despite」は前置詞で、「in spite of」も前置詞「of」を伴っていますので、あとには名詞(句)をもってきます。「despite」「in spite of」の後に文を置くことはできないので、注意しましょう。
「despite」の方が「in spite of」よりもややフォーマルなニュアンスを持っています。
(悪天候にもかかわらず、私たちはいい一日を過ごした)
(在庫はたっぷりあるという政府の発表にもかかわらず、人々はトイレットペーパーを買いあさった)
「despite」「in spite of」から始まる名詞句は、主節の前に置くことも後に置くことも可能です。
名詞しか置けないので、ちょっと使いにくいと感じるかもしれませんね。「despite」「in spite of」の後に直接that節を置くことはできませんが、「the fact that~」とすることは可能です。参考:https://dictionary.cambridge.org/ja/grammar/british-grammar/in-spite-of-and-despite
(天気が悪かった事実にもかかわらず、私たちはいい一日を過ごした)
(在庫はたっぷりあると政府が発表した事実にもかかわらず、人々はトイレットペーパーを買いあさった)
Despiteに似た副詞Regardless
「despite(にもかかわらず)」は前置詞ですが、これと同じような意味を持つ「regardless」は副詞として使うことができます。
「regardless of」の形で「~にかかわらず」として使われることが多いですが、単体で用いた場合は、「その他の状況や条件に関係なく」「とにかく」という意味になり、文頭、文中、文尾に挿入することができます。
(悪天候にもかかわらず、私たちはいい一日を過ごした)
(君がどう思おうと、私は彼女と結婚するつもりだ)
(参加者は人種、年齢、性別にかかわらず受け入れられる)
(一日中雨が降り続いていたが、それにかかわらず私たちはいい一日を過ごした)
(彼は足を骨折して仕事に来ることができなかった。それにもかかわらず、自宅で仕事をしていた)
(彼らはスーパーのトイレットペーパーの在庫はたっぷりあると発表した。それでも、他の人が焦って買い物しているのを見ると、私も買わずにはいられなかった)
Still「まだ~(だけど)」「なおも~(だけど)」
「still」は「まだ~」「なおも~」という意味の副詞ですが、文頭に置いて逆接の意味で使うこともできます。
(彼女は私をときどき怒らせる。それでもやっぱり私の妹なのよ)
(彼は何度も拒否された。それでもあきらめなかった)
予想に反したことを述べるYet
「まだ~ない」という意味の「yet」は副詞あるいは接続詞として働き、「~であるにもかかわらず」というふうに「予想に反した」意外なことを述べることができます。
andといっしょに「and yet」という形で用いられることも多いです。
(彼は醜くて太ってるけど、それでもけっこう魅力的なのよ)
(彼女は複数の博士号を取得しているにもかかわらず、ウエイターとして働いている)
文頭に置いてButの代わりに使える英語フレーズ
「but」の代わりに使えるフレーズは他にもいくつかあります。文頭に置いて使えるbutに代わる英語表現を紹介しておきます。
Having said that,「とはいえ」「そうはいったものの」
前述した内容を受けて「そういってはみたものの」というふうに、矛盾した内容を述べることができます。書き言葉よりも話し言葉としてよく使われます。
(同僚にはときどきイライラさせられる。とはいえ、彼らといっしょにこのプロジェクトに関わっていることを楽しんでもいるよ、たいていの場合はね)
(緊急事態宣言下に置いて、まだ外出する人がいることは信じがたい。そうはいったものの、家の中でずっと閉じこもっていることにストレスを感じる点については理解できるけど)
In contrast「それとは対照的に」
「contrast」には「対比」「正反対」という意味があり、「in contrast,~」で「それとは対照的に」「これに対して」という具合に矛盾した内容を後述できます。
(経済は景気後退から回復し始めたように見えた。ところが、それとは対照的に、我々の売り上げは下がっている)
On the contrary「それどころか」
「contrary」は「逆に」「裏腹に」という意味を持っており、「on the contrary」は前述した内容を受けて、「それどころか」「むしろ反対に」というふうに予想に反した内容を述べたいときに使います。
(彼女はあなたを喜ばそうとしたのよ)
— No way, on the contrary, she just upset me!
(とんでもない!それどころか、僕を怒らせただけだよ!)
On the other hand「一方で」
「on the other hand」は「一方、~」と話を続けるときに使えるフレーズです。
(彼は赤身の肉を食べるのが大好きだ。一方で、彼女の妻はビーガンなんだけどね)
butに代わる英語フレーズで表現の幅を広げよう!
butの代わりに使えるフレーズや、but以外の逆接接続詞について紹介しました。意外とたくさんあることに驚かれたのではないでしょうか。
カジュアルに使えて便利な「but」ですが、気が付くとこればっかり使っていることもあります。かといって、butのような接続詞は、文章において接着剤のように機能してくれるもの。取り除いてしまっては、文章が読みにくくなったりスムーズに前後がつながらなくなってしまいます。
そんなときには、今回の記事を参考に、but以外に使える表現がないか試行錯誤してみてください。