「本」を意味する「book」という英単語は、英語学習の初期の初期で学ぶ基礎的な言葉です。
英単語の中には、名詞でありながら動詞の意味を持つものは少なくありません。「book」のその一つで、動詞として用いられることがあります。
しかし、その意味は「予約する」。「本」とはかなりかけ離れた意味の動詞のように思えませんか?
そもそも「book」の由来は?
いろいろ調べてみると英単語「book」はゲルマン語に由来するそうです。ゲルマン語で「ブック」という、もともとは「ブナ(beech)」を意味する言葉から派生したものだと考えられているのだとか。
ブナは樹木の一種ですが、どうやらロシア語、サンスクリット語やラテン語における「本」という単語も、樹木の名前に由来していることがわかっており、これらは最初の文字が刻まれたのが樹木や樹皮だったことを示しているのではないかというのです。
参考:So why are books called books?
ちなみに、「そういえば日本語の『本』も、木に一を加えた文字だ!」と早合点してしまいそうになりますが、日本語で「book」を意味する漢字「本」の由来は明らかにはなっていません。
中国語では「book」を示す単語は「本」ではなく「書」であるため、一筋縄ではいかない模様…。このあたりのいきさつはまたの機会に調べてみたいなぁと思います。
どうして「book」は「予約する」なのか
それで、英語の話に戻りましょう。
ではなぜ、「本」を意味する「book」が「予約する」という意味で使用されるのか。これは、そもそも「book」とは「書き記したもの」「記録」であり、そこから派生して、「利用予定者の名前を前もって記録する」=「予約する」という意味で使われるようになったようです。
このため、「予約する」という意味で使われる「book」の対象となるのは、ホテルや飛行機の座席、観劇などのチケットであることが多いです。この場合、利用予定者の情報(名前とか電話番号など)を記録し、ときには代金を前払いする状態である可能性が高いです。
「book」と「reserve」の違い
一方、レストランのテーブルを予約したり、本屋さんで本を取り置きしてもらうときには、「book」ではなく「reserve」を使うほうがしっくりくるかもしれません。
そのスペースや商品を後から利用するかもしれない人のために、「取っておく」というくらいの意味と理解できます。
ただし、レストランのテーブルの予約に「book」を使ったり、ホテルの予約に「reserve」を使うのも一般的に行われます。ただ、言葉の由来から考えると、個人情報を伝えて前金を払って「正式に予約する」という意味では「book」がぴったりはまるように思います。
そうではなく、いつも込んでいるお店に電話して、空いている席を「今から行くから取っといて!」なんて言いたいときには、
Could you reserve a table for me please? We are coming in 10 minutes!
(私のためにテーブルを予約しといてくれない?あと10分で到着するから!)
の方が自然かもしれません。
あるいは、priority seat(優先座席)の説明として、
These seats are reserved for use by people with disabilities , the elderly , pregnant women and others in need.
(お身体の不自由な方、ご高齢の方、妊娠中の方など、必要な方にご利用いただける座席です)
などということができます。
動詞「book」のその他の意味
「book」に「記録する」というニュアンスがあることから見ると、この単語の動詞としての他の意味も理解しやすくなるでしょう。
警察に違反切符を切られる、反則を取られるという意味でも、この単語が使われます。辞書には動詞「book」のもう一つの意味として次のように定義されています。
If a police officer, referee, etc. books someone, they write down the person’s name in an official record because they have done something wrong
スピード違反で切符を切られたときや、サッカーの試合でイエローカードやレッドカードを受ける際の「反則」判定も「book」が使われます。
そう考えると、意外と使い道の多い単語なのですね。