日本語の「事故」に相当する英単語として「accident」という言葉があります。日本語でも「アクシデント」とカタカナ語として耳にすることもあるようですので、比較的わかりやすい言葉だと思います。
それと似たような単語に「incident」という英語もあります。
海外ドラマなどを見ていると、職場のシーンなどでよくこの二つの単語が交錯したりすることがあります。
英語学習者としては、「あれ、incident と accident の違いって何だっけ?」と混乱してしまうポイントです。
そこで今回は、あらためてincident と accident の違いについてまとめてみました。
incident と accident の意味
まず、incident と accident の意味をそれぞれ確認しておきましょう。辞書には以下のように紹介されています。
incident
https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/incident
an event that is either unpleasant or unusual
(好ましくない、あるいは通常ではない出来事)
accident
https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/accident
1. something bad that happens that is not expected or intended and that often damages something or injures someone
(予想外に起こるよくない出来事、通常モノや人に損害を与える)
2. something that happens by chance, without anyone intending or planning it
(誰かが意図したことや計画したことではなく、偶然に起こった出来事)
名詞としての「accident」の意味は上記の通り2つありますが、今回話題にするのは主に1の方の意味になります。
日本語に訳す場合は、「incident」は「出来事」や「事変」、 「accident」は「事故」と表現されることが多いです。
incident と accident の違い
incident と accident は、どちらも「望まない出来事」「好ましくないイベント」という点は共通しています。
では、その違いはどこにあるのでしょうか。
「incident」は、出来事の大小、善悪、意図的か否かを問わず、あらゆる「事変」を示すことができます。ちょっとした口論や喧嘩から、議論を醸した出来事、発砲事件など、すべて「incident」として表現することが可能です。
一方「accident」は、出来事の中でも「深刻な結果をもたらす可能性のあるもの」であり「偶然起こったこと」あるいは「意図せず起こったこと」をいいます。
わかりやすいのが車の事故でしょう。通常、わざと車の事故を起こす人はいないと思います。職場で誰かがケガをするようなことがあればそれも「accident」と言い表すことができます。
また、「accident」は規模の大きなことだけでなく、身近に起こる小さな「事故」についても述べることができます。例えば、誰かがコーヒーカップを倒してしまい書類やパソコンが被害を被るようなこと、これも「accident」として表現できます。
別の言い方をすると、「accident」は「incident」の中に含まれているものだということができるでしょう。
つまり、「accident」は常に「incident」ですが、すべての「incident」が必ずしも「accident」であるとは限らないのです。
どちらも「出来事」であることに変わりはありません。その中で、場所や物に損害を与える可能性があるものや人の病気や怪我につながるのは「accident」とも表現できるのです。
incident と accident の違いを例文で確認
では、incident と accident の違いを実際の例文で確認しておきたいと思います。
He was seriously injured in a car accident.
(彼は車の事故で深刻なケガを負った)
He was seriously injured in a shooting incident.
(彼は発砲事件で重症を負った)
「car accident」は通常意図せず起こることですので「accident」がしっくりきます。
一方、「発砲事件」は「意図せずに起こったもの」とはいいがたいため、「incident」を使うのが一般的だと思います。
Accidents at work could damage something or result in an injury to someone.
(仕事中の事故は、結果として何かを破損したり、誰かを負傷させたりする可能性があります)
It was an incident, not an accident because nobody was injured.
(それは「事故」ではなく「出来事」だった。誰もケガなどしてないのだから)
職場の出来事については、以上のようにこれらの単語が使われることがあります。
There was an accident and one person was killed by the drunk driver.
(事故があり、飲酒運転で一人亡くなりました)
The incident occurred at around half past midnight on Pine Hill Street.
(事件は午前0時半頃、パインヒル・ストリートで発生した)
上の例文では、人が亡くなっているので「accident」が使われています。
一方、下の例文はどのような出来事だったのかは描写されていません。「incident」という単語を使っているので、どんな出来事だったのかがあいまい化されています。
incident と accident の違いまとめ
incident と accident の違いについてまとめると、次のようになります。
- incident:好ましくない、日常的ではない出来事、事変。
- accident:偶然起こったことであり、なおかつ深刻な結果をもたらす可能性が高い出来事。
以上のようにまとめると、少しすっきりするのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、「accident」は「incident」に包括されますが、すべての「incident」が「accident」であるとは限らないということも、留意しておきましょう。