「want」といえば「ほしい」「したい」を表す動詞としておなじみです。英語ネイティブの日常会話でも非常によく使われます。
ただ、ネイティブの会話の中で使われる「want」の中には「~したい」「ほしい」と訳すだけでは少々力不足という場面があります。婉曲的に依頼や提案を表すこともあるためです。
提案の「want」
Do you want to have a cup of tea?
この一文は、通常「お茶がほしいですか」あるいは「お茶を飲みたいですか」と訳します。しかし、状況によっては「お茶、いかがですか?」という提案を含むこともできます。
その場合、「飲みたい/飲みたくない」としての「Yes./No.」という回答だけではなく、飲みたい場合は「Yes, please.」、飲みたくない場合は「No, thank you.」とするのが礼儀正しいでしょう。
次の文はどうでしょうか。
Do you want me to do something?
「want+人+to do」で「人に~してもらいたい」という意味になりますが、この場合、「人」が「私」ですので、「私に何かしてもらいたいですか」という直訳になります。
つまり、「私に何かしてほしいですか」→「何かしましょうか(お手伝いしましょうか)」という提案を表します。
こちらでは友人や家族を家に招いて食事をふるまうことが多いです。そんな場合、キッチンで忙しく働いているホストがいたら、
Do you want me to do something?
(何か手伝いましょうか)
Do you want me to cut the vegetables?
(野菜を刻みましょうか)
Do you want me to do dishwashing?
(お皿洗いしましょうか)
と提案してみましょう。
ちなみに、日本人はだれかを家に招待したとき、「お客様」に何かをさせるのはよくないことだと考えがちかもしれません。でもこちらでは友人や家族であれば、招かれた方もいっしょになって料理したり後片付けすることが多いです。
ですので、遠慮なく「~しましょうか」と提案してみてください。きっと喜ばれると思いますよ。
依頼の「want」
さて、一番理解しずらいのが、次のような「want」です。
Do you want to do some weeding?
Do you want to close the door?
直訳すると「草むしりをしたいですか」「ドアを閉めたいですか」となります。もちろん、こういう意味で使うこともあるかもしれません。
しかし、たいていの場合、上記のように言われたら、「草むしりしてくれない?」「ドアを閉めてくれない?」という依頼の意味になるかと思います。
例えば、あなたがドアの近くに立っていて、相手が部屋の中から「Do you want to close the door? 」といっているなら、間違いなく「ドアを閉めてくれない」という依頼の文章です。
他人に何かを依頼する場合、
Could (Can) you close the door?
(ドアを閉めてもらえませんか)
Close the door, please.
(ドアを閉めてください)
などというのが一般的ですね。でも、カジュアルな会話の中では「want」を使った文も依頼表現としてよく使われるのです。
それに気づかず、「Do you want to close the door? 」を文字通り「ドアを閉めたいですか」と受け取って「No, I don’t.(いいえ、閉めたくはありません)」などと答えたりすると、双方気まずい雰囲気になってしまう恐れがありますので、注意しましょう。