トルコ語には日本語の「てにをは」みたいな機能があります。
たとえば「私は水を飲みます」という場合、一定の条件のもとでは「水を」と「ヲ格」を表すために「水」という単語を活用させる必要があるのです。
今回は、トルコ語のヲ格語尾について、学んだことをまとめてみました。
トルコ語で目的語にヲ格語尾をつけるケース
トルコ語では、動作の対象として目的語を示す際、ヲ格語尾をつけなくてはいけません。ただし、ヲ格語尾をつけなくてもいいケースもあります。
以下の条件をどちらも満たしている場合、ヲ格語尾をつける必要がありません。
- 動作の対象(目的語)が動詞の直前にある
- 特定の人や物を示さない
以上、二つの条件がそろっていれば、ヲ格語尾をつけなくてもいいということです。
Ben su içerim.
(私は水を飲む=I drink water.)
Sen ekmek yersin.
(あなたはパンを食べる=You eat bread.)
これらの例文においては、「水」も「パン」も特定されていないため、ヲ格語尾をつけなくてもいいのです。
反対に、以下の場合には、ヲ格語尾が必要となります。
- 動作の対象(目的語)が特定の人や物である場合(固有名詞、指示詞、所有格で修飾されている名詞、人称代名詞など)、あるいは
- 目的語が動詞の直前にない場合
トルコ語では、語順をある程度入れ替えることができます。このため、目的語が動詞の直前にない場合、それが動作の対象物であることを示すために、ヲ格語尾が必要ということです。
トルコ語のヲ格語尾
トルコ語のヲ格語尾は、単語の最後の母音によって変化します。また、単語が母音で終わっている場合は、「y」を加える必要があります。
単語の最後の母音 | a、ı | o、u | e、i | ö、ü |
---|---|---|---|---|
子音で終わる単語 | -ı | -u | -i | -ü |
母音で終わる単語 | -yı | -yu | -yi | -yü |
çay(お茶)→ çayı
yağ(油)→ yağı
limon(レモン)→ limonu
su(水)→ suyu
tuz(塩)→ tuzu
et(肉)→ eti
domates(トマト)→ domatesi
süt(牛乳)→ sütü
bu(これ)→ bunu(これを)
o(あれ)→ onu(あれを)
例文で確認しておきましょう。
Ben domatesi yerim.
(私はそのトマトを食べます=I eat the tomato.)
Sen o kahveyi içersin.
(あなたはそのコーヒーを飲みます=You drink that coffee.)
トルコ語で「コーヒー」は「kahve」ですが、母音で終わっているため「y」が挿入されます。
Yoğurdu ve ekmeği yeriz.
(私たちはそのヨーグルトとそのパンを食べる=We eat the yoghurt and the bread.)
トルコ語で「ヨーグルト」は「Yoğurt」ですが、「t」の後に母音がついて活用する場合、「t」が「d」に変化します。
同様に「ekmek(パン)も、あとに母音が続くため「k」が「ğ」に変化しています。
トルコ語では動詞活用で主語がわかるため、主語の省略がよく行われます。
Kadın portakalı yer.
(その女性はそのオレンジを食べる=The woman eats the orange.)
動作の対象の特定性
以下の例文を比較してみましょう。
Sen kitabı okursun.
(あなたはその本を読む=You read the book.)
Sen kitap okursun.
(あなたは本を読む=You read books.)
上の例文では、どの本を読むのかが特定されますが、下の例文では、一般論として「あなたは本を読む」といっていると解釈できます。