日本人の中国語学習者にとって困難なのは、聞き取りと発音です。中国語の発音には、日本語にない音が多く、それらを聞き分けるのはとても難しいからです。とくに独学の場合、どんな教材を使ってリスニング練習をするかはとても重要です。中国語リスニング力を上達させるための練習用教材の選び方について考えてみました。
中国語リスニングはなぜ難しい?
中国人の話す中国語が聞き取れないという学習者はたくさんいます。中国語を学習しているときに、「あれほどしつこく発音練習を行っても、実際の会話となると、まったく聞き取れなかった!」なんてことは、中国語学習者ならみなさん経験があることではないでしょうか。
中国語の実践の場で、リスニングができない理由としては、次のようなことが考えられます。
- 中国語の正しい四声が身についていない
- 中国人の話すスピードについていけない
- 中国語のボキャブラリー不足
- 中国人話し手の発音が標準的な「普通話」でない
中国語リスニングを練習は多聴と清聴
中国語のリスニング力を上達させるには、多く聞くこと「多聴」と、じっくり聞き込むこと「清聴」のバランスが大切です。
「多聴」というのは、とにかく中国語の音声テキストをたくさん聴くことです。隙間時間を利用して、とにかく中国語に触れる時間を増やすことが肝心です。
「清聴」というのは、同じテキストを端から端まで暗記するくらいの気持ちで、繰り返し聞き込むことです。テキストを読んで理解してから、何度も繰り返して聴くことで、話し手のイントネーションから言葉使いまで、すべて頭に叩き込むくらいしつこく聞きます。
この2種類の聞き方をバランスよく組み合わせることが、中国語リスニング力アップの近道です。
中国語のリスニングができない理由として、「中国人話し手の発音が標準的でない」ことを挙げました。このブログでも何度もふれていますが、中国は広く、地方によって、「普通話(北京語」を話していてもアクセントが異なります。
「清聴」に用いる音声テキストは、できるだけ標準的な発音で録音されたもの(CCTVなど)が適しています。一方、「多聴」の練習の時には、いろいろな地方出身者の中国語にふれるようにすると、実践的なリスニング力を身につけることができます。
中国語の発音練習もリスニング力を伸ばすカギ
中国語の発音には、日本語にない音が多いため、それらを正しい発音としてマスターしておくことが大切です。中国語の発音練習は、粘り強く繰り返して行うようにしましょう。
一般的に、どんな外国語に関しても、自分が発音できない「音」は、リスニングの際にも正確に聞き取ることは困難です。
つまり、「発音」と「リスニング」は、つねに表裏一体なのです。発音がうまくなれば、自然とリスニング力が上達します。
発音練習の際には、口や舌、唇の筋肉をどのように動かして、どこから息が出て「発音」しているのかを、体感的に覚えるようにすると効果的です。中国語発音のDVDを見たり、中国語会話の講師や中国人の口の動きを常に見る癖をつけるとよいと思います。
中国語リスニング練習におすすめの教材
中国語リスニングの練習に使用する教材を選ぶポイントは、次のようなことではないでしょうか。
- 中国語のスクリプトと日本語訳がついている
- テキストの内容が現代中国語の会話中心である
- テキストの内容に興味が持てる(内容がおもしろい)
「清聴」として用いるテキストはもちろん、「多聴」用のテキストに関しても、内容を把握できていない中国語音声を聞くだけではリスニング練習にはなりません。
「清聴」なら100%、「多聴」でも70%は、内容を理解できなくては、ただ中国語を聞いてもそれは雑音を聞いているのと同じです。
テキストの内容を理解するためには、中国語のスクリプトと、日本語訳がついているものが理想的です。
また、実践的な中国語会話を身につけるためには、当然ですが、現代中国語の、特に口語でよく使われる表現が用いられているものでなくてはいけません。
何度も繰り返して聴くことが必要になりますので、テキストの内容が良質なものであることも大切です。内容に興味がなければ、何度繰り返して聞くのは苦痛になりますし、我慢して聞いても学習効果は低下してしまいます。
これらの点を考慮して、私がおすすめするのは日中通信社の「聴く中国語」です。
「聴く中国語」がおすすめな理由
「聴く中国語」は、私が中国へ留学する前、日本で中国語を勉強しているときに購読していました。
中国語学習者のテキスト雑誌として、ニュースやインタビュー、ドラマ、映画などさまざまなジャンルやメディアの音声テキストが含まれています。もちろん、中国語のスクリプトと日本語訳、日本語での解説がついています。
そのほかにも、中国語学習に役立ついろいろな特集を組んでくれていて、毎月フレッシュな内容の中国語に触れることができます。
生の中国語に触れるには、中国へ語学留学に行くのが手っ取り早いと思うかもしれません。中国に住んでいれば、テレビやラジオなどからいくらでもフレッシュな中国語音声は聞くことができます。
しかし、中国語のスクリプトはありませんし(テレビ放送には字幕がついていますが)、日本語訳も解説もありません。中国で語学留学しても、学校で使われるテキストは、あくまで学習用のテキストです。街で聞く「生きた中国語」とは、ギャップがあることもあります。
その点、「聴く中国語」のように、日本語訳と日本語による解説付きのテキストは、とてもありがたいものです。
また、月刊誌なので、内容に飽きません。中国語検定などの試験対策のコラムもあります。
もし書店で見かけたら手にとってみてください。コストパフォーマンスの面から見ても、優秀だと思いますよ。
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