中国語学習者が最も苦労するのが、中国語の「発音」です。中国語をかじったことのある人ならみんな、「発音には力を入れていたはずなのに、実際現地では全然通じなかった」という経験があるのではないでしょうか。なぜ、中国語の発音はこれほどに難しいのでしょうか。中国語の発音を効果的に、なおかつ効率的に身に付けるためのコツを紹介します。
中国語の発音はまず、ピンインから
中国語の発音を徹底的にマスターしようと思うなら、まず、ピンインを完璧に覚えることです。ピンインは、中国語の発音を英語のアルファベットを借りて表記した発音記号です。中国語の漢字は一文字が1音節になっていて、発音とトーン(声調)の組合せとして表記されます。
中国語の漢字を覚える時、このピンインを完璧に覚え込むことが、実は発音をマスターすることの早道です。
初心者でも中級者でも、このピンインを覚えることは、退屈な作業であり、ついあやふやに記憶してしまいます。しかし、学習が進むにつれて、最初からピンインをコツコツを覚えていた人の方が、圧倒的に上達が速いのです。
中国語発音を独学で学ぼうとする人は、まず、ピンインを暗記することから始めてみましょう。どんなテキストでも構いません。地道な作業ですが、必ず将来自分のスキルとして花開く時が来ます。
視覚、聴覚、触覚を使って記憶する
ピンインを覚える時にどのように記憶するか、そのコツは、「視覚、聴覚、触覚」の3つの感覚を総動員して覚えることです。
まず、漢字とピンインを「見て」視覚的に覚えます。そして、音声を聞き(聴覚)、自分の口や舌を動かして発音(触覚)してみます。ピンイン、音、筋肉の動き、これらを3つセットで脳に刷り込むのです。
たとえば、日本人が苦手とする「そり舌音(巻き舌音)」のひとつ、「shi」の発音記号を見たら、その瞬間に口の中で舌が剃り上り、軟口蓋につく、ぐらいの状況にならなくてはいけません。
発音記号を見たら、反射神経的に唇と舌の筋肉が動くように訓練しましょう。
中国語の四声は2文字の組合せで身に付ける
中国語学習者は声調にも悩まされます。中国語(北京語)の場合は、4つの声調があります。この声調は日本語にはないものなので、日本人の中国語学習はにとっては、とても難しく感じます。しかし、声調(四声)がきちんと発音されないと、中国語は上手く伝わりません。
広東語やタイ語、ラオス語などにも声調があります。広東語は、6つの声調があるので、北京語よりもさらに難しい?と思いますが、実際はそうでもありません。
北京語は4つしか声調がないため、2文字の組合せは16パターンしかないことになります。広東語は、少なくとも36パターンあるので、意外と適当な声調で発音しても、けっこう通じます。むしろ、北京語の方が、声調を正しく発音しないとコミュニケーションできません。
日本人が苦手なそり舌音(巻舌音)をどうするか
先ほども書きましたが、日本人が苦手な発音に「そり舌音」があります。「shi, chi, zhi, ri」の4つですが、これが頻繁に登場します。
「私は日本人です」と言いたいときの「日本」も「ri ben」と、いきなりそり舌音ですよね。「美味しい」と言うときの「好吃」も「hao chi」で、そり舌音が含まれています。
これは、もう繰り返し練習するしかありません。自分が思っているよりも舌を高くそりあげる必要があります。どうしても、そり舌音が発音できないという人は、中国の南方に行きましょう。中国の南方および台湾の人はそり舌音が甘いので、下手なそり舌でも苦労しません(笑)。
そり舌音をきちんと身に付けたい人は、そり舌音の入ったテキストをよく聞き、それを徹底的に真似ることです。そして、自分が発音したものを録音して聴き比べてみましょう。
中国人には強気で話しかけよう
もうひとつ、日本人が中国に行って、「通じなかった・・・」と落胆する理由に、中国人に強気で話しかけられないケースがあります。
特に中国語初心者のうちは、自信もないし、話しかけるのに勇気がいりますね。勇気をふりしぼって話しかけても、相手に、眉を吊り上げ口をへの字にして「あぁ?」と聞き返された時には、「すみません、もう結構です」と尻込みしたくなります。
最初に、一般的な中国人は外国人に慣れていないことを理解しておきましょう。
日本人は英語も苦手ですが、それでも最近は英語が話せる日本人も増えました。一昔前、日本に行った外国人が日本人に英語で話しかけると、英語が分からない日本人は「ぎょっ」と後ずさりしたものです。
中国人は、未だ外国人に、なじみがない人が多いのです。ですから、相手の言っていることが分からないと、モンスターにでも会ったみたいに拒絶反応を示す人もいます。
しかし、そこで引っ込んでしまう必要はありません。ヘタな中国語でも、知っている単語を連発すれば、意外と通じるものです。
少しコミュニケーションできれば、もっともっと話がしたくなります。さらに中国語学習が楽しくなります。次に中国人に会った時には、ためらわず、ずうずうしく話しかけてみましょう。