広東語は、中国語の方言の一つですが、香港と広東省で話される、中国語の方言としては最大級のものです。そのため、広東語を学ぶ人口も多く、独学者が使いやすいテキストも比較的多く出回っています(上海語や台湾語に比べて、という意味です)。
その中でも、私が以前使ってみて、使いやすかったものをピックアップして紹介します。
広東語を独学で始める人におすすめテキスト3冊
はじめての広東語(郭 素霞 著)
特に発音に力を入れて編集されています。広東語の発音は、北京語(標準中国語)よりも声調が多く、複雑ですので、発音で挫折する人が多いです。このCDブックは、日本語と広東語がCDに録音されているため、CDをかけっぱなしにしておくだけで、広東語の勉強になります。
繰り返しCDを聞くことにより、いつの間にか日本語を聞けば広東語が出てくるようになります。広東語の耳を育てたい人におすすめの1冊です。
ゼロから話せる広東語―会話中心(陳 敏儀 著)
タイトルの通り、会話中心の広東語テキストです。手っ取り早く会話を理解できるようになりたいという人におすすめな1冊です。特に香港の広東語を学びたい人にぴったりの入門書でしょう。
広東語の会話が中心に編集されているので、文法などの解説が少ないのは仕方ないでしょう。文法よりもとにかくすぐ実践で使える広東語を覚えたい場合は、この本から始めると良いと思います。
ニューエクスプレス 広東語(飯田 真紀 著)
外国語学習書として、幅広い言語に対応してくれているニューエクスプレスの広東語編です。
広東語の初心者だけでなく、もう一度広東語をおさらいしたい人にもおすすめの1冊です。発音から文法、会話まで、初心者が学びたいすべてを網羅しています。この本を1冊読めば、広東語という言語をざっくりと学ぶことができます。大まかにどのような言語なのかをとらえることができるでしょう。
香港旅行に持っていくならこの1冊
香港(絵をみて話せるタビトモ会話)
香港への旅行や出張には、この本を持っていくと便利でしょう。旅行用のフレーズ本は、他にもいくつかありますが、おすすめなのはこちらです。イラストもかわいく、読んでいるだけでも楽しくなるような1冊です。
香港旅行で必要な、カンタンな会話を知っておきたいなら、これ1冊でも十分かもしれません。発音も声調を含めて丁寧に書かれているので(カタカナ表記ですが)、分かりやすいです。
広東語の単語集はこれ1冊
聴いて、話すための広東語基本単語2000(陳守強、ダン超英 著)
広東語の単語集は、実はあまり良いものが出回っていません。どの本を見ても、おそらくはちょっと物足らない感があるのですが、その中でおすすめするなら、この1冊です。
辞書的に使うのもよいかもしれません。ただ、発音は、カタカナで表記されていますので、本格的に広東語を学ぶ人が長期に使う単集としては機能しないでしょう。
広東語の辞書については、以前書いているのでそちらの記事を参考にしてください。
香港の広東語テキストは広東省でも通用するか
こうして、見てみると、広東語のテキストでも香港の広東語をベースにしているテキストが多いことに気づきます。広東語は、中国本土の広東省でも離れている方言ですので、広東省で使える広東語を学びたいという人もいるでしょう。
これらの香港の広東語をベースとした広東語テキストは、広東省でも通用するのかという疑問を持つと思います。
そもそも、広東省の広東語と香港の広東語は何か違うのか、という点は次の記事に書いていますので、読んでみてください。
広東省で広東語を使いたいという人が、香港の広東語テキストを利用するのはOKだと思います。ただし、漢字表記は、中国本土では簡体字になります。香港で使われる繁体字とは異なるので、文章を読めるようになりたい人は、簡体字を自分で勉強する必要があります。
といっても、広東語は話し言葉なので、広東語学習においては、読み書きよりも話す聞く能力の方に意味があります。
あともう一つ、言っておきたいのは、広東省をはじめ中国本土では、北京語(普通話と呼ばれる中国標準語)が普及しています。広東省に行くからといって広東語を習得する必要性はかなり低いでしょう。特に広州などの大都市では、北京語だけでも十分です。
そのため、広東語のテキストとなると、どうしても香港広東語にフォーカスされたものになるのでしょう。
とりあえず広東語で話しかけてみよう
香港にしろ、広東省にしろ、広東語はとてもざっくばらんな言語です。彼らは、広東語という言語を外国人が話せると思っていませんから、少しでも広東語で話しかけるとたいへん喜んでくれます。
ここに挙げたテキストを、まずは1冊読んでみてください。がっつり広東語を学びたいという人は、すべて試してみてもよいと思います。ただし、広東語を学ぶなら、テキストだけでなく、実践で使ってみてくださいね。きっと、さらに広東語を学びたくなるはずです。