中国語を学ぶときに、北京語と広東語のどちらを学ぶべきか迷う人もいると思います。
広東語は中国語の方言の一つと言っても、標準語である北京語とは、まったく異なる言語のように聞こえます。
中国語学習者にとって、北京語と広東語、どちらが簡単なのでしょうか。
北京語の方が学びやすい
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結論から言うと、北京語と広東語では、北京語の方が学びやすいといえます。
その理由は、次のようなことが挙げられます。
北京語は発音記号体系が確立されている
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私たちが言うところの北京語(Mandarin)は、中国国内では「普通話」と呼ばれるものです。
wikipediaによると、
中華人民共和国成立後の1955年10月、共産党と人民政府は全国文字改革会議と現代漢語規範問題学術会議を招集し、そこで現代漢民族の共通語の名称「普通話」とその内容が確定された。これを受けて教育部は11月、「中学・小学および各級師範学校において大いに普通話を推し広めることに関する指示」を発表した。
つまり、普通話は、中国政府が1955年に、国民の意思疎通をスムーズにするものとして中国の公用語として定められ、普及されるようになったものです。
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この際に発音体型として、「ピンイン(拼音)」という、英語アルファベットを借用して発音を表すシステムができました。
現在の子供たちが中国語の漢字を学ぶとき、まずこのピンインを勉強します(台湾を除く)。
また、パソコンなどで中国語を入力する際にも、このピンインで入力する方法があります。
このピンイン表記はとても分かりやすく、整然としてます。
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これに比べると、広東語は、きちんとした発音記号が確立されておらず、発音表記の方法が辞書やテキストによって異なったりします。
中国の学生ならだれでも、漢字のピンインを書いて見せてくれることができるでしょう。しかし、香港の学生で広東語の発音をアルファベットで書き表すことは、広東語を外国人に教えたことがある人しかできません。
北京語には広東語のように文字を持たない発音がない
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広東語は香港や中国の広東省で広く普及していますが、あくまで話し言葉です。そのため、発音先にありき、で文字を持たない音が存在します。
https://gogakumania.com/chinese/what-is-cantonese
https://gogakumania.com/chinese/spoken-words
辞書を引いても文字がない音は「□□□」と表記されています。これは、中国語学習者にとっては大変困難なことです。
特に私たち日本人は、漢字の意味が分かるため、中国語を学ぶときに、かなり文字に頼りがちになります(本当はよくないのですけどね)。
しかし、広東語の場合、完全に耳で覚えるしかない言葉が存在します。
北京語は広東語よりも声調が少ない
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中国語は、音のトーンによって意味が異なります。おなじ「ma」という発音でも、高く発音するか、低く発音するかで意味が全く異なります。
これは「声調」と呼ばれます。日本語でも「はし」とっても「橋」なのか「箸」なのかは、そのイントネーションで区別したりしますね。
それと同じようなものですが、日本の場合は地域差があったりします。中国語の声調は、もっと明瞭で体系化されたものです。
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声調は、北京語にも広東語にもあります。ところが、北京語には4声調しかないのに対し、広東語には6声調(9声調という人もいます)もあるのです。
中国語学習者にとっては、4つの声調でもかなり難しいものです。4声調でも苦労するのに、6声調なんて・・・と思ってしまいますね。
北京語の方が文法に例外が少なく覚えやすい
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細かな文法的違いは、ここには書ききれませんので、またの機会に詳しく説明したいと思います。
しかし、一般的には、北京語の方が関東語に比べて文法に例外が少なく、覚えやすいと言って良いと思います。
先ほども書きましたが、広東語はあくまで話し言葉です。そのため、時代や土地による変化も大きいといえます。
北京語話者の方が、広東語話者よりも文盲の比率が低い
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中国には、いまだに文字が読めない人がたくさんいます。
北京語=普通話が話せる人というのは少なくともそれだけ学校教育を受けている人なので、文字が書けない、読めないという人の比率は小さいです。
また、特に香港などでは漢字自体が煩雑な「繁体字」を用いています。日本で言うと昔の漢字です。画数が多くて、覚えるのにも苦労するのが想像できると思います。
そのため、文字が読めないのではなく、学校に行っていたけど、漢字を書くのが苦手という人も多いのです。
ですから、中国語学習者が香港に行って、ある単語を現地の人に漢字表記してもらっても結構間違っていることが多いのです。
やっぱり北京語の方が学びやすい
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以上のような点から、私は広東語よりも北京語の方が学びやすいと思います。
これ以外にも、北京語の方がテキストが多いとか、優秀な教師が多い、レッスンを開催している教室が多い、などのようなことも挙げられます。
まず、北京語から始めて、余裕があったら広東語や上海語の方言にも手を広げてみるというスタンスがやりやすいかもしれませんね。