中国語学習者の最大の難関である発音の中でも、基本中の基本が「四声」です。中国語の基礎においてここを無視して通るわけにはいきません。
初心者にとっては習得するのが難しいといわれる四声ですが、コツと練習方法をおさえればマスターするのは難しくありません。私の経験上、もっとも役に立った練習方法と発音のコツを紹介します。
中国語の四声をマスターしよう!
中国語の発音の基礎は四声にあります。四声の基本を把握していない人は、その後どんなに訓練しても発音はうまくなりません。
私が中国語ネイティブの先生について、中国語を学び始めた時、こういわれました。
たとえどんなに多くの中国語単語をあなたが暗記していても、中国語ネイティブはあなたの中国語がうまいとは思いません。でも、あなたが正しい発音をマスターすれば、中国人は「あなたは中国語がうまいですね!」といってくれるでしょう。
中国語四声の基本
四声とは4つの音のトーンのことを言います。中国とは発音するときの音の高低によって、言葉の意味が変わりますので、四声がとても重要な意味を持っています。
ここでお話しするのは中国語の標準語である「普通話(北京語)」、英語で言うとマンダリン(Mandarin)になります。
普通話は4つの異なる音のトーンがあります。これを「四声」と呼びます。
ここで「えっ、4つも覚えなくちゃいけないの?」と思うのはやめましょう。中国語の方言の一つ広東語やそのほかのアジア諸国の言語では5つ以上のトーンを持つ言語もあります。
「中国語(普通話)のトーンは4つしかない、ラッキー」と思ってください。
(以下「中国語=普通話(北京語)」としてお話します)
中国語四声の発音方法基本
中国語の四声は、第1声、第2声、第3声、第4声という風に呼びます。それぞれの特徴は以下の通りになりますので、まずはざっと目を通してください。
第1声
高く平たく伸ばす音。音楽で言うなら「ソ」の音のような感じ。思っているよりも高い音です。
第2声
低い音から急激に高い音へとずり上がる音。下から思い切って上にあげるように意識しましょう。日本人は特に「上げ方」が甘いといわれます。
第3声
低い音。第2声のように、低い位置から少し上に上がる音と、よく説明されていますが、そう思い込んでしまうと、第2声との区別がしにくくなります。
「とても低い音からやや上に上がる音」というよりも、とにかく「とても低い音」として覚える方がおすすめです。
第4声
高い音から一気に低く下がる音。これもかなり「急降下」する音だと思ってください。日本人の場合「大げさ」に発音する方が正しい発音に近くなります。
中国語四声の練習方法と覚え方
中国語の四声は、自分ではできているつもりでも実際にはできていないものです。それは、ネイティブと会話してみればわかります。四声がマスターできていない人は、どんなにがんばってもなかなか通じません。
私が四声をマスターできたのは、実は中国語学習を始めてから数年たった後でした。当初四声の練習方法がよくわかっていなかったために、回り道をしたのだと思います。
そのような経験からこの記事を書こうと思い立ったわけですが、私が一番効果的だと思う四声の練習方法は、2文字の組み合わせで音のトーンを把握するやり方です。
というのも、結局四声=音のトーンというのは相対的なものなので、1文字だけで練習してもあまり上手く理解できないんですね。前後の2つの音を比較しながらその変化を覚えることで、四声を的確に把握することにつながります。
4つの音が2文字の組み合わせですので、16パターンしかありません。しかも、そのうち3声+3声は声調変化して2声+3声になるので、厳密には15パターンです。
その練習方法については別記事にも書いていますが、その前のステップとして、ここではより初心者向けの練習方法を紹介します。
「軽声」を利用した方法です。
軽声について
軽声というのは、四声とは別に短く軽く発音される音のことを指します。2文字以上の単語であとの文字を軽く添えるように発音する方法です。ボールがバウンドするように、「ついでに」軽く発音するイメージでやってみるとうまくできるかもしれません(あくまでイメージ)。
軽声は、四声発音の後にくっついて発音される音ですが、前にどの四声が来るかによって、音の調子が異なります。軽声そのものの発音はとてもシンプルで簡単なので、初心者でも容易にマスターできるはずです。
四声+軽声の組み合わせの単語で、日常生活で非常によく使われる単語のうち、中国語学習初心者でも発音しやすいものをピックアップしました。まずは、これらを繰り返し発音して四声を理解しましょう。
第1声+軽声
mā ma
意味:お母さん
最初の「マ」を高く平たく伸ばした後、次の「マ」を軽く添えるように短めに発音します。第1声が高い音ですので、後に続く軽声は自然とそこから落ちて低い音になります。
第2声+軽声
míngzi
意味:名前
「名」は第2声です。カタカナで「ミンズ」という発音でも、正しく声調が発音できていれば通じます。「ミン」の部分は低い音から一気に上にずり上げる感じで、上がりきった音より少し落ちて低く「ズ」を軽く発音します。
「ミン」の部分でしっかり上にあげないと、「ズ」がうまく落ちません。発音の出発点でもある「ミ」を思いきり低い位置から始めるのがコツです。
第3声+軽声
hǎo de
意味:いいよ。OK!
「好(ハオ)」の一文字でも「いいよ」という意味なりますが、日常会話では「的(ダ)」を付けて2文字で使うのが一般的です。レストランやお店で何かを注文した時に「わかりました」という意味でもよく使います。
「ハオ」の部分はとても引く音で、そこから上にふわっと浮かんだように発音する「ダ」はやさしく軽く発音します。日本語の「ダ」よりも母音「あ」をあいまいに発音します。
しつこいようですが、「ハオ」は3声ですが、あくまでも「低い音」として発音してください。「低い音からやや上に上がる音」として認識するとうまく発音できません。低い「ハオ」という音の反動で、「ダ」をふわっと発音するという感じです。
第4声+軽声
xiè xie
意味:ありがとう
中国語を知らない人でも知っているフレーズですが、これも実は軽声。
最初の「シエ」は高いことから急降下する音で、後の「シエ」は降下した着地点みたいなイメージで短く発音してみてください。2声とは反対に、高めの位置から発音し始めるのがコツになります。
発音は何度も繰り返して練習するしかない
スポーツ選手が試合で良い結果を残せるのは、毎日の練習を地道に行っているからです。発音も同じで、毎日の筋トレ練習が良い結果を導いてくれるはずです。
理論を理解したら、自分で実際に発音して試してみてください。発音に限って言えば、練習量と上達スピードは比例すると思います。
ピアノを学ぶ人が毎日指の動かし方を練習するように、ブラインドタッチをマスターしたい人が指の配置を暗記するように、発音も繰り返し練習なしではうまくなりません。
次のステップは四声の組み合わせ16パターンで練習!
軽音との組み合わせで四声の練習ができたら、次は四声+四声の組み合わせで練習してみましょう。より複雑になりますが、これが完璧に覚えられれば、四声はマスターしたも同様です。
中国語の発音がマスターできれば、たとえボキャブラリが少なくても自分の中国語に自信が持てるようになります。早い段階で自信が持てるようになると、そのあとみなさんの中国語はメキメキ上達することでしょう。
なによりも「中国語が通じる」という喜びは、最大のモチベーションになります。この記事を参考に、ご自身の中国語発音を切磋琢磨(qiē cuō zhuó mó)してみてください!