世界の言語の中で、早口言葉に最も適した言語は何でしょう?
正解は日本語。平易なトーンと清音が早口言葉に向いているのだそうです。
では、一番ケンカしやすい、と言われている言語は何だと思いますか?
答えは中国。
…と言う、嘘か真か?ちょっとマユツバな噂にもなんだか真実味を感じてしまうほど、中国人同士の会話は悪く言えばルーズ、良く言えば歯に衣着せないざっくばらん。
じっさい、日本人や外国人が初めて中国人同士の会話を聞いていると、「これって、ケンカしてるの?」とハラハラしてしまうことが。
「関西人同士の会話は、そうでない人にはまるでケンカしてるように見える」に近いでしょうか?
日本人が思う無礼も中国人にはごく普通
例えば中国映画やドラマの中で、役者さんが「あぁん?」と返事しているのを見たことはありますか? 日本でいうところのヤンキーや、やんちゃな大人が雑に応対する時の「あぁ?」に近い口調です。これを男性ならまだしも、キレイな、しかも不良のような役どころではない女優さんがしていたりします。
あるいは、舌打ち。見ず知らずの相手から「チッ!」なんてされようものなら、された側が日本人なら「こんな無礼なことをするなんて」と落ち込むか、怒り出すでしょう。
でも中国では、当たり前、というのも御幣がありますが、割と日常のなかで普通に出くわします。
お店で店員に分からないことを聞いたり、道行く人に何か尋ねた時に、こちらの中国語がうまく伝わらなかったり、相手が急いでいたりなどすると、明らかに無愛想です。
相手が店員、こちらがお客であろうとそこは遠慮ありません。「共産主義の中国の給料は頑張っても固定給だから、努力しようとしない」と言われていたことも。昨今は外資系企業も多く入り、働く環境によっては、中国人の職員も必ずしも無愛想とは限りませんが…。
中国の店員の態度は日本のそれに比べれば、お客に対して「対等」なのだと思えば、納得もいくでしょうか。
「他人」に厳しく「身内」には優しく
中国の歴史は、広大な国土に無数の国が乱立し攻めては滅ぼし滅ばされを繰り返してきました。敵国が地続きで攻めてくる、そんなシビアな歴史的背景です。
中国人にとって、最も大切な守るべきものは「家族」であり、「友」。逆に、敵とも味方ともつかない見ず知らずの相手、すなわち「他人」は警戒の対象。そんな相手に愛想笑いはしない、甘い顔はしない、という、言葉を変えればきっぱりした態度が、特に「調和」に敏感な日本人には「キツい…」と映るのかもしれません。
そのかわり、信頼関係が出来上がりいったん「友」となった相手には、非常に手厚く親切です。
遠慮しすぎず、縁を大事に
中国人は、こちらの中国語が通じず聞き返すという時も遠慮はありません。日本人なら「すみません、聞き取れなくて…。」と自分が悪くなくても恐縮して言いそうなところを、「あぁ?」と聞き返されることがあります。人によっては眉間にしわもよせます(もちろん、やさしく聞いてくれる人もいます)。
やはり「他人にはまず警戒」なのかもしれません。こうもあからさまに態度に出されると、中国語に自信のない人はここでくじけてしまいそうですね。でも、負けないで。
聞き返すということは、「話を聞こう」という意思表示です。顔が険しくなるのはごく普通のこと、もしくは真剣に相手の話を聞こうという態度の現れ、と前向きにとらえることもできます。
「ここで自分が引けば、相手の『話を聞こう』という好意を棒にふる」と思って、あともう一押し頑張ってみましょう。ひょっとしたらその人と、生涯の得難い「友」となれるかもしれません!