日本に関心がある外国人にとって、よく話題に上がるのが地震に関するトピックです。
日本は地震が多い国として知られています。日本で起きた地震の規模を説明するとき、私たちは日常的に「震度」を使って表します。しかし、「震度」は日本独特のものなので、外国人には理解しにくく、よくマグニチュードと混同されます。
今回の記事では、地震に関するボキャブラリと震度のマグニチュードの違い、そして「震度」を英語ネイティブに英語で説明する方法について紹介します。
「震度」を英語で説明するのが難しいのはなぜ?
1.地震を経験したことがない外国人もいる
日本が地震国であることを知っている外国人は多く、地震に縁遠い国から来ている人にとっては、とても興味深いトピックのようです。
しかも、日本の組織や科学技術はかなり発展しているとイメージしている外国人は多いので、地震予測や防災についても、さぞかしすばらしいシステムや技術を持っているのだろうと思いこんでいる方も少なくありません。
実際に日本の防災や地震予測は、私もすごいと思うのですが、それは置いておいて、この記事では「震度」を英語で説明する方法に集中しましょう。
2.震度には国際的な基準がない
たとえ地震に興味がない外国人でも、マグニチュードが地震の規模を表しているということは知っている人がほどんどです。それに対して、震度という指標は一般的ではありません。これは、震度に国際的基準がないことが理由の一つでしょう。
日本人にとっては子供のころから地震には震度がつきものですので、普段何気なく使っていますが、ここも英語での説明を難しくしているところです。身近にあるものほど、いざ説明しようとすると困難を感じるものです。
このような理由から、日本の震度について外国人に説明するのは意外とタフです。ですが、以下、震度を英語で説明する方法としてアイデアや例文を挙げますので、機会があればぜひ外国人に英語で説明してあげてください。
マグニチュードと震度の違いとは?
そもそも、ここを理解しておかないと、あとの話が分かりにくいので、マグニチュードと震度の違いを復習しておきましょう。
マグニチュードは地震の規模を示すもので、英語では「magnitude」といっても通じますし、あるいは「the Richter scale」といったりします。
一方、震度(seismic scale)は、地震の感じ方や被害の大きさを表す数値です。
マグニチュードは地震そのものの大きさを表すので、一つの地震について数値は一つのみです。
震度は「揺れ」の大きさや被害の程度によって異なるため、一つの地震について複数の数値が発生します。私たちは経験から知っていますが、一般的に震源地(focus/center)に近いエリアほど震度は高くなります。
震度があるのは日本だけではない
マグニチュードは国際的基準として使われるので、世界のどこで起こった地震でもマグニチュードを聞けば、だいたいの規模が想像できます。
一方、震度に関しては、国際的に共通した基準はありません。日本独自のものと言いましたが、日本以外にも震度階級を利用している国はあって、中国やヨーロッパなどではそれぞれ独自の震度階級を持っています。
ですので、厳密にいうなら私たちが普段話している日本の「震度」は、英語で表現すると「The Japan Meteorological Agency seismic intensity scale」となるようです(長い!)。直訳すると、「日本気象庁による震度階級」ということになります。
付け加えておくと、この英語名称からわかりますが、日本の震度階級を設定しているのは日本気象庁(The Japan Meteorological Agency=JMA)です。
震度を英語ネイティブにどう説明する?
このように、英語を話す外国人の中には、そもそも地震のない国に住んでいて地震の経験がない人や、地震を知っていても「震度」という測り方を持っていない国に住んでいる人もいます。ですので、日本の「震度」を説明するのは、なかなかの大仕事だったりします。
英語学習初級者でも言いやすいように、できるだけ専門的な言葉や表現を使わずに、英語ネイティブに説明する方法を考えました。
マグニチュードと震度の2つの尺度がある
いずれにしても、マグニチュードという「測り方」は知っている人が多いので、そこから説明するとよいでしょう。
(マグニチュードは地震の規模を表す尺度です)
(震度はマグニチュードと違うものですが、日本人にとってはよりなじみが深いものです)
(震度は日本気象庁が設定した地震の尺度です)
「震度」=a seismic scale
a seismic scaleはやや専門的な用語ですが、「震度」を英語に訳すのにもっともぴったりするのがこの言い方のようです。seismicとは、あまり見慣れない単語ですが【saɪzmɪk】と読みます。「地震の」という意味の形容詞です。
seismicはギリシャ語由来の単語らしく、専門的用語ですので日常会話ではほとんど使われません。地震に関する論文や学術的記事には頻繁に登場するので、覚えておいても損はないでしょう。
外国人に「震度」を説明するとき、「Shindo」と日本語をそのまま使っても良いですが、「Japanese seismic scale」の方がより理解しやすいと思います。
(震度は日本の地震尺度です)
seismic という新しい単語を覚えたくない人は、以下のように震度を説明することもできます。
(震度はもう一つの地震尺度で、日本気象庁が設定しています。その数値は、地震の感じ方や被害の大きさによって決まります)
マグニチュードと震度の違いを英語で説明する
日本において、地震はマグニチュードによる数値と、震度による数値で表されます。そして、震度は一つの地震について複数の数字が表示されることがあり、ここが外国人にとって混乱するポイントでもあります。
(ですから、一つの地震に関して、マグニチュードの数値は一つだけですが、震度の数値は複数存在します)
その理由は、震度の数字は、地震の感じ方やダメージの大きさを表しているため、場所によってことなるからです。
(なぜなら、震度は場所によって数値が異なるためです)
震度の値と実際の感じ方や被害との関係
具体的に震度何度がどのような被害程度に相当するかについては、日本気象庁の英語サイトにも表が公開されています。
(震度に関する詳細は、日本気象庁のウェブサイトで閲覧できます。そこには、どの数値がどのくらいの地震体感に相当するのかがはっきりと示されています)
後半部分は、ネイティブにしてみれば英語としてあまりしっくりこないようですが、言いたいことは伝わるはずです。また、できるだけ簡単に表現しようとすると、この辺の表現が楽なのではないかと思うので、例として挙げておきます。
最大震度について英語でどういう?
ネイティブからよく聞かれる質問に、最大の震度は何度なのかという質問があります。それにはこう答えてあげましょう。
(日本の震度で最大数値は何ですか?)
The highest point on the Shindo scale is 7 where most buildings and houses collapse or have severe damage.
(最も強度が強い震度は7です。この場合、ほとんどの家屋や建物は崩壊するか、深刻なダメージを受けます)
一方、マグニチュードに関しては理論上、上限がないようです(現実的な可能性としては、地球で起こりうる最大地震のマグニチュードは10くらいだといわれています)。
(マグニチュードに関しては上限がありません。マグニチュードで計測した世界最大の地震は、1960年にチリで起こった大地震で、マグニチュード9.5を記録しました)
2011年に起こった、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)のことを覚えている外国人も多いです。
(2011年の東北地方太平洋沖地震は、マグニチュード9.0でした)
日本人にとっては震度の方が実用的である
日本人がどうして震度という指標を使っているのかを説明してあげると、さらにわかりやすいと思います。
(日本人にとっては震度の方が、地震の規模を知るにはわかりやすい尺度かもしれません)
It is more practical because you can imagine how much damage it caused in specific places where your family or friends could be.
(それに、より実用的です。なぜなら、その数値を見れば、家族や友人がいるかもしれない土地の被害状況を想像できるからです)
As soon as an earthquake happens in Japan, they always use the Shindo scale on TV. For example, “Shindo 4 in Tokyo, Shindo 2 in Shizuoka, Shindo 1 in Nagoya”.
(日本では地震が起こると即座にテレビで震度が発表されます。例えば、”東京震度4、静岡震度2、名古屋震度1”といった具合に)
日本では地震が起こるとすぐにニュース速報で各都市の震度が表示されますよね。あれは、なかなか素晴らしい技術で、日本に住む外国人の中には感心する人もいます。あれほど即座に震度が表示されるのは、気象庁で特殊な「震度計」というものを使って計測するためなんだそうですよ。
さらにアカデミックな説明をする
ここまで説明してきて、相手がさらに興味を示しているなら、少しアカデミックな話もしてみましょう。あなたのインテリぶりを示すことができるかも!
復習も兼ねて地震に関連する単語です。
マグニチュード(尺度として)=the Richter scale
震度=a seismic scale
震源(地震が発生した地点,地中にある)=focus
震央(震源の真上にある地表の点)=epicenter
震源と震央に関しては、どちらもepicenterとしているサイトもあり、英語ネイティブでも混同している人がいます。しかし、「epi-」はupon や aboveという意味を持っているため、「震央」という訳の方が正しいと思われます。震源という意味の英語では「hypocenter」という単語もありますが、やや専門用語的すぎるので、日常会話ではちょっと使いにくいですね。
これを踏まえて、震度の数値と震源との関係性を英語で説明します。これには「the+比較級~, the+比較級~」という構文を使ってみました。
(通常、震源地に近ければ近いほど、震度数値は大きくなります)
ここでのearthquake’s focusはepicenter(震央)と置き換えても、意味は通じるし、理論的にも間違っていません。
震源からの距離と震度の関連性については、私たちは経験から知っていることですが、外国人にとっては新鮮に聞こえるようです。ここまで説明すると、「ホホーぅ」と、かなり日本の「震度」について理解を深めてもらえるはずです。
ついでの話ですが、震度階級は地震の揺れや被害の程度を示すものなので、人が住んでいない地域では実質あまり意味を持ちません。
日本は他の国に比べると、国土のほとんどのエリアにかなりの密度で人が居住しています。外国の中には人が住んでいないエリアが広い国が多く、その違いが日本に「震度」を普及させているという指摘もあります。
震度を英語で説明するときにこれだけは押さえておきたいポイント
ここまで長々と書いてきましたが、最低限説明してあげたいポイントをまとめると、次の3点ではないでしょうか。
Shindo is a different seismic scale than the Richter scale.
2.日本の震度は気象庁が設定したもの
Shindo is a seismic scale established by the JMA.
3.震度は場所によって数値が異なる
Shindo differs from place to place.
あとがき
長ーい記事を最後までご覧いただきありがとうございました。
今回の記事の内容は、私が日本で英会話レッスンに通っていた時に、英語ネイティブ講師から何度も質問されたトピックです。そして、当時は英語でうまく説明することができず、いつもフラストレーションを感じていました。
その経験から、あれもこれもとフレーズを追加していくうちに、とっても長い記事になってしまいました。
でも、次に外国人から「震度」のことについて尋ねられた時には、この記事がきっとお役に立つと思います! 記事内のフレーズを少しでもインプットしていただき、活用してみてくださいね。
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