英語を身に付けるために海外留学を考える人は多いと思います。しかし、思春期前の子供ならまだしも、大人になってからの語学留学は、海外留学したからといって、必ずしも英語が上達するわけではありません。その理由をお話ししたいと思います。
海外留学しても英語は上達しない事実
英語のスキルアップを図るために、海外留学やワーキングホリデーに参加することを考えている人は多いでしょう。そのための費用を貯金している人もいるかもしれません。
しかし、「海外に住めば英語が上達する」と考えているなら、それは改めたほうが良いと思います。
小さな子供ならば、海外住んでいれば自然に英語が身につくということはよくあります。しかし、残念ながら大人の場合は、そう簡単ではありません。
実際に、海外に10年以上暮らしている人でも、英語がまともにできないという人はたくさんいます。特に家族で海外移住している場合、子どもはすぐに英語を身に付けてしまいますが、親の方はいつまでたっても英語ができなくて子供に馬鹿にされる、なんて話もよく聞きます。
海外に住んでいると、普通は英語に触れる時間も長く、自然と英語が身に付きそうと思われがちです。しかし、大人になってから言語を習得するというのは、それほど容易なことではありません。
子どもと大人の違い
子どもと大人には、その脳や筋肉の柔軟さに大きな違いがあります。
小さな子供は、周りの大人の話す言葉を聞いて言語を習得します。子どもの脳は柔軟で、記憶力も瞬発力も優れているので、英語を聞き流すだけでもすぐにその言葉を身に付けてしまいます。ところが大人になるとそうはいきません。
テレビや街の人々の会話から、英語をたくさん聞き流してもそれだけでは、大人の脳には定着しません。英語は単に流れている「音」にすぎないので、言語能力として身につかないのです。
発音に関しても大人の方が圧倒的に不利です。子どもは、口の周りや舌の筋肉が柔軟なので、英語の発音にすぐに対応します。聞いた音をそのまますぐに真似ることができるのです。ところが、大人の場合、慣れない音はよほど訓練しないと筋肉が上手く働いてくれません。
海外にいても英語漬けになるとは限らない
海外で生活していると言うと、さぞ毎日英語に囲まれているのだろうと想像されます。しかし、実際は自分の身の回りを英語環境にしていかない限り、英語漬けにはならないものです。むしろ、日本にいて、ネットやDVDなどを利用して英語環境に身を置く方が、よっぽど「英語漬け」の生活がおくれるでしょう。
日常生活では、英語を使うシーンが多くなると考えるかもしれません。しかし、日常の買い物やレストランで使われる英語はとても限られています。街で耳にする英語にしても、意識していなければ単なる「騒音」と変わりありません。
本当に英語漬けになって、英語を上達させたいのであれば、日本にいてオンライン英会話レッスンをこまめに受講する方が、よほど英語上達には効果的だと思います。
海外も日本も語学学校は同じ
語学留学の場合、海外で語学学校の授業を受講することになるでしょう。しかし、実際は、海外の語学学校も日本にある語学学校も大差ありません。やっている内容、講師の質など、むしろ日本の語学学校の方が優れていることも多いものです。
ただし、海外で語学学校に通うと、世界各国から英語を学びに来た留学生たちとふれあう機会が多いのは事実です。生徒同士は英語でコミュニケーションすることになるので、その点では日本の語学学校よりも有利でしょう。
しかし、留学先によってはクラスのほとんどが日本人留学生ということもあり、学生寮に入ってもほとんど日本語で交流しているというケースもあります。
英語の上達には継続と積極性
海外留学するにしても、日本で語学学校に通うにしても、最終的には、その人の努力次第だと思います。英語学習を継続して行うことと、積極的に英語を話したり聞いたりすることが肝要です。これさえできれば、日本にいてもどこにいても英語を上達させることは可能です。
むしろ、海外留学にお金を使うなら、日本で英会話学校に通ったりして英語漬けの環境を作る方が、コストパフォーマンスがよいかもしれませんよ。