一般に私たちが「中国語」というと、それは北京語を中心としてまとめられた中国の標準語を指します。
中国国内ではその標準語のことを「普通話」や「国語」などと言って、他の方言と区別します。
厳密に言うと北京語も中国の方言の一種で、「中国語」=「普通話」=「北京語」というのは、正しいとは言えないかもしれません。
しかし、一般的には私たちは「中国語」=「北京語」として了解していることが多いので、この記事の中でもその意味として「北京語」という言葉を使います。
北京語と広東語はそんなに違うもの?
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さて、北京語と広東語はどれくらい、差があるのかというと、まったく別の言語と考えたほうが良いでしょう。
文法的には、ほとんど同じだといっても良いのですが、まず発音が根本的に異なります。北京語話者と広東語話者が会話する場合、同じ中国人でも、基本的には意思疎通できません。
私は、北京語も広東語も何となく話せるので、広東語しか分からない香港人と、北京語しかわからない中国人との間でなんちゃって通訳をした経験もあります。とにかく、それぐらい、言語の差は大きく、コミュニケーションには支障があるということです。
北京語と広東語で会話は成立するか?
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ただし、最近は中国語圏内でもグローバル化が進み、北京語と広東語のバイリンガルも珍しくありません。
たとえば、香港の映画などを見ていても、最近はよく中国大陸や香港からの北京語話者のキャラクターが登場します。
広東語話者ははじめから終わりまで広東語しか話していないのに、それに対して北京語話者は始終北京語を話しています。
しかし、それでいて会話が成立しているシーンがあります。そんなへんちくりんな場面は映画の中のジョークだと思っていたら、実際にそのようなことが、中国語圏では日常茶飯事に起こっています。
「聞いて分かる言語」と「話すことができる言語」
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何語に関してもそうですが、見ているとある一つの言語を理解するにも「聞いて分かる言語」と「話すことができる言語」という2種類があるようです。
「広東語は聞いて理解できるけど話せない北京語話者」と「北京語が聞いて分かるけど話せない広東語話者」が話をするとそのような状況になるわけです。
北京語も広東語も、そのスタイルは多少異なりますが、漢字で表記されます。その漢字の発音の仕方が、広東語と北京語では大きなへだたりがあります。
しかし、慣れてくると、音の変換の方法に何となく規則性があることが分かります。(例を挙げて説明しようと思ったのですが、うまい例が思い浮かびません、すみません)
ですから、いったん慣れてくると、よく耳を澄ませば、お互い、何となくわかってくるようなのです。
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「聞く」もしくは「話す」のどちらかしかできない言語というのは、言語を学習する人から見れば、なんとも心細く、「そんなんでいいの?」という印象を持ってしまいます。
しかし、合理的な中国人のこと、それでことが済めばそれでいいや的ないい加減さが、私は結構好きです。