中国語は漢字を使用する日本人にとって、比較的とっつきやすい言語だといえます。独学でもある程度学習できる外国語の一つですが、日本人にとって一番の難関は「発音」です。
そんな中国語(マンダリン/北京語)の発音を独学で学習できる教材として、今回ご紹介するのは、「ロゼッタストーン」です。
ロゼッタストーンとは?
ロゼッタストーンとは、世界中で500万人以上が利用している語学習得メソッドです。その特長は、母国語を介さずに外国語を身につけるというコンセプトです。
ロゼッタストーンは、現在英語を含む24言語に対応しており、英語や中国語だけでなくマルチリンガルを目指す、まさに「語学マニア」にはとても魅力的なプログラムです。
そんなロゼッタストーンですが、私も実際に中国語(北京語)版を使ってみました。そのレビューとおすすめポイントを解説します。
以下、記事内の画像は、すべて販売元に許可をいただき、私がキャプチャ画像として撮影したものです。
ロゼッタストーンで身につくネイティブの発音
私が実際に使ってみて、一番感動したのは、その発音トレーニングの方法です。
ロゼッタストーンは、語彙力、文法、リスニング、発音を総合的に独学で学習できるようにカリキュラムが組まれています。中でも、注目したいのは日本人にとって独学での習得が困難だとされる中国語の発音トレーニングです。
ロゼッタストーンでは、自分が発音した音声を、音と波形でチェックすることができます。
画像は実際に私が発音した音の波形です。緑の波形はアクセントの強弱、白い線はピッチの高低を表しています。このピッチの高低は、中国語の四声(トーン)に相当するもので、自分の発音とネイティブの発音(四声)を視覚的に確認することができます。
この機能を利用すれば、自分の発音をよりネイティブに近い音で発音することを目指して練習することができるというわけです。独学でここまでできるのは、素晴らしい機能だと思います。
発音の間違いや不足を視覚的に確認できる
発音が完璧でない場合、図のように自分の発音のどこがクリアでないのかが表示されます。オレンジ色に囲まれた、文字が薄くなっている箇所が、私がうまく発音できなかったところです。
先ほども書きましたが、波形のうち緑色の部分はアクセントの強弱、白い線は声の高さ=トーンを表しています。ですので、ネイティブの波形と自分の発音の波形を比べれば、どこが弱いのかが良く理解できます。
たとえば、上の画像で確認すると、私の発音は、ネイティブの発音と比べて高声部分がうまく発音できていないのが分かります。ZhèもFànも第四声ですので、高い音から急激に下がる音ですが、私の発音では単語の始めの声の高さが足らないことが確認できますよね。
総合的に学習できる独学ツール
もちろん、ロゼッタストーンで学べるのは発音だけではありません。上の画像は音声を聞いてそれにふさわしい写真を選ぶ練習です。リスニングのトレーニングができます。
ロゼッタストーン中国語のテキスト表記は、ピンインのみ、漢字表記のみ、ピンインと漢字両方を表記、の3種類から選べることができ、レッスン中に変更することも可能です。
これは、文法セクションの画像。正しいものを選ぶと、答えが音声で流れます。
各レッスンの仕上げにはマイルストーン
各ユニットの最後には、「マイルストーン」といってそのユニットの総仕上げ的なテストがあります。一つのストーリーになっていて、連続する写真を見ながら空白になっている文章を自分で発音し、会話を構成していくようになっています。
そして、一つのレッスンが終了すると自分のスコアが表示されます(下の画像)。間違った箇所は元に戻って復習することができます。
ロゼッタストーン中国語レッスンの構成とボリューム
レッスンはレベルに合わせて1~5まであり、それぞれが4つのユニットに分かれています。ユニットには基本的に4つのレッスンとマイルストーンで構成されています。
つまり、全体として20ユニットがあるということです。
それぞれのユニットは4つのレッスンに分かれ、さらにコアレッスン(30分)、発音(10分)、リスニング(10分)、読解(10分)、文法(10分)、ライティング(5分)、語彙(5分)、会話(10分)、復習(約5分)などに細かく分割されています(カッコ内はそれぞれのセクションの所要目安時間)。
目安の所要時間でざっくりと計算すると、1ユニットは約450分以上のボリュームで、これが20ユニットあるので、合計で少なくとも150時間のレッスンに相当します。
ただし、これらの所要時間はあくまでも目安で、各ユニットごとに異なります。また、じっくり自分の発音などをチェックしながらやっていると、とてもこのくらいの分数では足りません。私が自分で試してみた感じでも、目安時間の倍近くかかったレッスンもあります。
これだけのボリュームのプログラムが3万円以下なら、かなりお買い得だと思いませんか?
学習できるシーンと内容
ロゼッタストーン中国語は、繁体字と簡体字が選べるようになっています。レッスンの途中からでも、コース設定から文字体系を変更することが可能です。
各ユニットごとの具体的な内容とシーンは、以下の通りになっています(ソースネクストロゼッタストーンの詳細ページより抜粋)。
1.言語の基礎 キャンプに出かける、持ち物を尋ねる、行動を尋ねる など
2.あいさつと紹介 バスに乗る、挨拶する、名前・年齢・出身地を尋ねる など
3.仕事と学校 ホームパーティを行う、友人を紹介する、仕事・趣味を尋ねる など
4.ショッピング 買い物をする、値段・サイズを尋ねる、お礼を言う などレベル2
5.旅行 美術館へ出かける、車を運転する、時間・道順を尋ねる など
6.過去と未来 空港でのやりとり、過去の出来事・今後の予定を尋ねる など
7.友人と社会生活 パーティーに誘う・準備する、天気・時間を尋ねる など
8.食事と休日 休日の過ごし方について語り合う、セイリング・食事を楽しむ などレベル3
9.家庭と健康 怪我・安否を気遣う、ものを勧める・断る、掃除する など
10.暮らしと世界 助けを求める、生い立ちを尋ねる、食事に誘うなど
11.日常の物事 新居でのやりとり、感想を述べる、考えを伝える など
12.場所と出来事 出かける支度をする、お祭りに出かける、値段交渉をする などレベル4
13.観光とレクリエーション 観光に出かける、ツアーガイドの説明を聞く、レストランでのやりとり など
14.職業と趣味 プレゼント探し、職業・趣味を尋ねる、荷物を送る など
15.街中や自宅にて アパート探し、自宅・車の故障・修理 など
16.ファッションと健康 病状を尋ねる・気遣う、衣類の修繕を依頼する、パーティでのやりとり などレベル5
17.ビジネスと産業 仕事について詳しく尋ねる、お土産を買う、会う約束をする など
18.芸術や学術 趣味・嗜好を尋ねる、映画について語り合う、お薦めを尋ねるなど
19.緊急事態 症状を尋ねる、手当の方法を伺う、事故の状況を詳しく説明する など
20.家族とコミュニティ 地域のボランティア活動に参加する、週末の過ごし方を尋ねる、近隣の人たちと会話する など
ロゼッタストーンでの独学が向かない人
ただし、ロゼッタストーンでの独学が向かない人もいます。それは、まったくの中国語初心者、つまり文法も発音記号の知識も全くない人です。
ロゼッタストーン中国語で独学を始める際に、最低限でも、発音記号であるピンインが読めるようになっていることが前提になります。文法に関しては、別に文法書を1冊購入し、それで文法を理解しながらロゼッタストーンを使っていくことも可能でしょう。
逆に言うと、このツールはやり直し中国語にはピッタリです。また、正しい発音を身につけたいけれど、オンラインや対面式レッスンを受けるほどの自信がない人にも向いており、会話の実践前の練習ツールとしても最適です。
実際に自分で使ってみて、かなりおすすめ度の高いツールです。ゲーム感覚で外国語学習ができるので、毎回時間を忘れて没頭してしまうくらいです(笑)。さらに詳しい内容は、ロゼッタストーンのホームページで確認してみてくださいね。