「Do you care for a drink?」は、特にイギリス英語でよく耳にする表現です。
「drink」という単語と使われるシチュエーションから、「飲み物のことを聞いているのかな」と想像できるのですが、なんで「careなの?」って思ってしまいます。
普段の日常会話では割とスルーしていた表現ですが(えっ?)、今回はまじめにその内容と意味を考えてみようと思います。
「Do you care for a drink?」が使われる場面とは
私たち夫婦は二人ともお酒を飲むのが好きです。
ほとんど毎日、夕方のそろそろ晩御飯の準備をしようかなという時刻になると、彼はたいていこういうふうに聞いてきます。
Do you care for a drink?
あるいは、
Would you care for a drink?
タイミングがタイミングだし、ほぼ毎回冷蔵庫の扉を開きながら、「ああ、飲み物(たいていはお酒)のことを聞いているんだな」とわかります。
ですから、これまであらためてその意味や成り立ちなどを調べたことはなく、日常会話として「聞いてわかるフレーズ」にストックされていました。
でも、そろそろ真面目に勉強しようかと思い(!)、あらためてこのフレーズにどうして「care for」という動詞が使われているのか、調べてみたのです。
「Do you care for a drink?」の「care」の意味
「care」という動詞は、「take care of」などの形でよく使われます。これは「(人など)の世話をする」という意味で、英語教育の初期段階で習います。
上記のように、飲み物を聞くシーンで「care」という単語が出てくるのは、ちょっと意外な感じがします。でも実は、「care for+人あるいは物」で「~を好む」という「like」と同じ意味を持っているのです。
つまり、
Would you care for a drink?
は
Would you like a drink?
と同意になるということ。―――こう関連付ければ、覚えやすいのではないでしょうか。
このフレーズ、Cambridge Dictionaryには、そのまま例文として採用されており、「used in polite offers and suggestions」として使い方を説明しているので、カジュアルなシーンだけでなくていねいな言い方としても使えるようです。
私の経験からいうと、このいい方はお酒の飲み始めの際に使われることが多く、おかわりを尋ねるときにはあまり使わないように思います。
同じ意味の「care」はこんな使い方も
「a drink」の部分を、その人の好きそうな飲み物に変えて、
Would you care for a glass of red wine?
(赤ワインはいかが?)
と使うこともあります。
また、逆に「~は好きではない」というふうに否定形として使うことも可能です。
I don’t care for raw fish / seafood / red meat.
「like」よりも、やんわりと「好きではない」を表しているように思えます。
care about は「気にする」
ついでに、もう一つ。for ではなく about を伴って「care about」という形になると、「~を気にする・気にかける」という意味になります。
例えば、
You don’t care about my feelings, do you?
(私の気持ちなんてどうでもいいんでしょ?)
パートナーとけんかをするときには、このようなフレーズを使って憤りを表現することができます。
I do care about you, of course!
(もちろん、気にしているよ!)
という返事が返ってくれば、仲直りは遠くありません。