英語学習の素材としてTEDトークを利用している人は多いと思います。私も時々利用しますが、TEDトークの公式サイトからなら、日本語字幕に対応しているものもあり、さらに使いやすくなりましたね。
ただ、コンテンツが豊富にあるので、どれを選べばいいのか困ってしまうこともあります。英語学習の手段として利用するなら、自分の興味のあるものから視聴してみるのがおすすめです。
今回は、このブログを訪れてくれる人は、「言語」や「外国語」「語学」に興味がある人ばかりだと思うので、TEDトークの中でも言語学習に関連したものを集めてみました。
この記事の見出しタイトルは、TEDトークの日本語タイトルには対応していませんので、ご了承ください。ざっと見出しを眺めながら、気になるものがあれば、ぜひ視聴してみてくださいね。
「未知なるもの」はなぜ「X」なのか?
Terry Moore: Why is ‘x’ the unknown?
約4分、スピード:ゆっくり、初心者向け
数学の方程式に出てくる「x(エックス)」は、なぜAでもBでもなく、エックスなのか。未知なるものという意味で「x(エックス)」が使われるのはもはや数学だけではなく、Xデー、プロジェクトXなど、日常的に使われます。
私たちはなぜ未知なるものを「X」と呼ぶのか、数学の歴史を振り返りながら紐解きます。
接続法(仮定法)を持つ言語話者は悲観的?
Phuc Tran: Does The Subjunctive Have A Dark Side?
9分、スピード:ミディアム、中上級者向け
2011年、Gallup Internationalの調査で、世界で最も楽観的(Positive)な国民はベトナム人だという報告があるそうです。Phuc Tran氏とその家族は、1970年代にベトナムから難民としてアメリカ、ペンシルバニアへと移住しました。
そこで、英語を身につけるわけですが、彼の父親は英語の接続法Subjunctive(彼がここで意味しているのは主に仮定法)がイマイチ理解できません。なぜなら、ベトナム語には仮定法がないからです。
空想と後悔を表現する接続法(仮定法)と、現実と明快さを語る直接法(Indicative)について述べながら、接続法を持つ言語と持たない言語の話者の楽観性について、論理を展開していきます。
ちなみに、世界で最も楽観的な国民がベトナム人なら、最も悲観的な国民はどこの国でしょうか? 最後まで視聴すると、その答えが分かります!
(この記事投稿時点で、日本語字幕なし)
未来形をもつ言語話者は貯蓄下手?
Keith Chen: Could your language affect your ability to save money?
12分、スピード:速い、上級者向け
Keith Chen氏はアメリカで育った中国人。英語と中国語の言語の特徴の違いから、貯蓄が得意な国民とそうでない国民の間には、言語の文法体系が関連しているのではないかと考えます。
世界の言語の中には、未来形を持つ言語とそうでない言語があり、未来形を持たない言語を話す人の方が、貯蓄が得意だという話を展開します。
その理論の実証方法の説明部分が少し複雑で、分かりにくく感じるかもしれません。しかし、語学に興味がある人なら、おもしろいと感じる内容だと思います。
スピードも早く、数字表現もたくさん出てきます。まずは日本語字幕で見てみると、理解しやすいかもしれません。
テキストメッセージは間違った文法だらけなのか
John McWhorter: Txtng is killing language. JK!!!
スピード:やや速い、初級、中級者向け
SNSなどの普及により、スマホなどでタイプするテキストメッセージがコミュニケーションのツールと使われるようになった現代。特に若い人たちの間では、テキストメッセージ独特の表現も使われるようになっています。
それを「文法的に誤りだ」とするのではなく、言語はそうやって変化していくものだと主張するJohn McWhorter氏。
スピードが速い部分もありますが、語彙的には分かりやすいので、初心者にもおすすめです。
また、口語言語と文語言語の歴史的変遷のくだりは、語学マニアにとっては非常におもしろいパートです。
世界の言語地図とその役割のジレンマ
Mark Pagel: How language transformed humanity
20分、スピード:やや速い、中上級者向け
世界の言語についてベーシックな部分が鳥瞰的に理解できる、言語学概論のようなプレゼンテーションです。
世界には約7000~8000言語が存在していますが、そのうちわずか10言語程度が地球上の人口の50%以上によって話されているといいます。一方で、毎年30~50言語は絶滅しつつあるとも。
コミュニケーション、共同作業(Cooperation)のためのツールという側面と、同一言語圏における知識(knowledge)や技術(Skills)を保存するためのバリアという側面を持つ言語の特性を解説しています。そして、世界はどこへ向かうべきなのか…。
しぐさや身振りで人格や人生を変えることはできるのか
Amy Cuddy: Your body language may shape who you are
21分、スピード:速い、中上級者向け
しぐさや身振り、ボディランゲージ(body language/nonverbal language)を取り扱ったプレゼンテーションです。
私たちは、勝利した時にはVの字のように両手を上げて喜びます。また悲しいときや不安な時には、両腕を抱きしめるように小さくなるものです。こういったしぐさは、動物にも同様な行為が認められるとAmy Cuddy氏は語ります。
また、時に私たちは自分を大きく見せるために、どっしりと椅子に深く座ったり、腕を腰に当て仁王立ちなるポーズをしたりします。これは、ポーズやしぐさで他人に何らかの印象を与えるために行います(Our nonverbals govern how other people think and feel about us)。
しかし、その逆に自分がわざととるポーズで、自分自身の気分やその人生まで変えてしまうことはあり得るのでしょうか(Do our nonverbals govern how we think and feel about ourselves?)。
歴史と現実が作り変える言葉の意味
Mark Forsyth: What’s a snollygoster? A short lesson in political speak
7分、スピード:速い、イギリス英語、上級者向け
短いプレゼンテーションですが、話すスピードが速くイギリスアクセントも強いです。
英語タイトルのsnollygosterは、日本語では「悪徳政治家」などと訳されます。政治家は言葉によって民衆を統治しようとするものですが、時には彼らの思い通りに言語が機能しなくなるということもあります。
それを、アメリカ大統領を示す「President」という単語を例にとって説明しています。今でこそ、私たちは「President」という言葉に、民衆をリードする偉大さや権威を感じますが、アメリカ合衆国が成立した当時、「President」には、「主任」とか「ちょっとした会議の議長」という程度の意味しかありませんでした。
そんな「President」という単語をなぜアメリカ合衆国の長となる人物の呼称として用いるようになったのか、そしてこの200余年でその「President」に対する印象が大きく変わったことについて、辛辣な口調で語ります。
赤ちゃんの泣き声の母国語による違い
Annie Murphy Paul: What we learn before we’re born
お母さんのお腹の中で胎児がどのように学習するかをテーマにしたものです。言語について語ったものではないのですが、母国語の違いによって、赤ちゃんの泣き声にもアクセントがあるという部分があり、ちょっとおもしろいかなと思って、紹介しておきます。
イタリア語を話す母親から生まれた赤ちゃんの泣き声と、フランス語の母親から生まれた赤ちゃんの泣き声の違いを聞きたい人は、視聴してみてください。また、胎教に興味がある人にもおもしろい内容です。
Podcastで聞くTEDトークまとめ
TEDトークは、サイトから視聴することもできますが、私はPodcastのTED Radio Hourをよく聞きます。TEDトークの中でもテーマを絞って、おもしろいトークをピックアップして紹介してくれるので、一度に複数のトークをつまみ食いできます。
プレゼンターのインタビューもあり、TEDトーク内で語られなかった内容を聞くこともできます。
Podcastのいいところは、再生スピードを調整できるという点と、スマホにダウンロードしておけばオフラインでも聞くことができることです。英語学習に役立ちますよ!