「歯を磨く」「靴を磨く」「腕を磨く」…、日本語では「磨く」の一言で済むところが、英語では動詞の使い分けが必要な場合があります。
何を磨くのか、どんなふうに磨くのかによって、同じ「磨く」でもふさわしい英語動詞が変わってくるのです。おもしろいですね。
今回は、日本語の「磨く」に相当する英語表現をまとめてみました。
一般的な「磨く」= Polish
「磨く」という意味で広く使えるのが、「polish」です。
to rub something using a piece of cloth or brush to clean it and make it shine
https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/polish
(布やブラシなどで何かをこすり、きれいにしたりピカピカにしたりすること)
He carefully polished his leather shoes before going out.
(彼は外出する前に、革靴を念入りに磨いた)
Silverware that has turned black can be polished to a shine.
(黒っぽくなってしまった銀食器は磨けばピカピカになります)
The more you polish leather goods, the longer their distinctive texture will last.
(皮製品は磨けば磨くほど独特の風合いが長持ちします)
The first step in the sake-making process is to polish the rice after washing it.
(酒つくりの最初の工程は、米を洗った後に磨くことです)
「ピカピカに磨く」という表現は、後で「shine」という動詞を紹介しますが、「polish something to a shine」ということもできます。
He loves his car and always polishes it to a shine.
(彼は車が大好きで、いつも愛車を磨いてピカピカにしている)
注意:polishとPolish
「polish」とまったく同じ続りですが、大文字で始まる「Polish」となると「ポーランドの」という意味の別単語になります。スペルは同じでも発音がちょっと異なるので気を付けたいところです。
polish: 英式[ˈpɒl.ɪʃ]/ 米式 [ˈpɑː.lɪʃ]
Polish: 英式[ˈpəʊ.lɪʃ]/ 米式 [ˈpoʊ.lɪʃ]
ブラシで磨く= Brush
ブラシを使って何かを磨く場合、「brush」を使います。
Kids! Did you brush your teeth?
(子どもたち!歯は磨いたの?)
My shoes were so muddy that I needed to brush them.
(靴が泥だらけだったので、磨く必要があった)
「brush」は「floor(床)」などを目的語に取ることもあります。でも、この場合、「ほうきをかける」と受け取れる場合もあり、必ずしも日本語の「床を磨く」に合致するとは限りません。
I’ve just brushed the floor, and you already made a mess with your breadcrumbs!
(床をきれいにしたばかりなのに、もうパンくずで汚してしまったわね!)
この場合、デッキブラシのようなもので床を磨いたと受け取れますが、「ほうきで床を掃く」場合も動詞「brush」が使われます。「ほうきで」と明確に言いたいときは、
I’ve just brushed the floor with a broom.
(床にほうきをかけたところだ)
とすると、はっきり区別できます。
ちなみに、「モップで磨く」という場合は「mop」を使います。
Could you mop the bathroom floor?
(トイレの床にモップをかけてくれる?)
ピカピカに磨く= Shine
「磨いてピカピカにする」という意味で、「shine」を動詞として使うこともできます。
He shined his shoes before he went out.
(彼は出かける前に靴をピカピカに磨いた)
We have important guests coming today, so let’s shine the silverware.
(今日は大切なお客様をお迎えするので、銀食器をピカピカに磨いておきましょう)
ごしごしこすって磨く= Scrub
「ごしごし磨く」といいたいときは「scrub」を使うとよいでしょう。
You can easily clean burnt pots and pans by scrubbing them after soaking them in water.
(焦げ付いた鍋は、水に浸けてからゴシゴシ洗うと簡単にきれいになります)
Could you also scrub the bathtub after brushing the bathroom floor, please?
(お風呂場の床をブラシで磨いたあとは、湯船も磨いておいてくれる?)
米を磨く(精米する)= Mill
これは少し例外的な「磨く」ですが、米を磨く、あるいは精米するという場合、「polish」のほかに「mill」を使うことがあります。
「mill」本来の意味は、「粉砕する」「臼にかける」になります。コーヒーの豆を挽く器具のことを「コーヒーミル」といいますが、その「ミル」に相当するのがこの単語です。
私が思いつく限り、「米を磨く」という使い方に限って「mill rice」ということがあります。
The first step in making sake is to wash and mill the rice.
(酒を造る最初の工程は、米を洗い精米することです)
腕やスキルを磨く= Polish
腕やスキルを磨くという場合にも、「polish」を使うことができます。
I am going to suggest five ways to polish up your communication skills.
(コミュニケーション能力を磨くための5つの方法を提案します)
この意味では「polish up」という言い方でよく使われます。辞書にはこのように定義されています。
polish sth up:
https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/polish-sth-up
1.to rub or brush an object to make it shine, especially a metal or wooden object
(金属や木製品などをこすったりブラシをかけたりしてピカピカにすること)
2.to improve a skill, especially when you have allowed it to become less good over a period of time
(特に一定期間において劣化したスキルを向上させること)
I need to polish up my English before moving to Canada.
(カナダに移住する前に英語を磨かなくては)
あるいは、シンプルに「improve(向上させる)」を使ってもよいです。
I want to improve my English.
(英語を上達させたい=英語スキルを磨きたい)
「polish」は「文章を磨く/推敲する」という意味でも使うことができます。
It is important to always review and polish up your writing after you have finished writing.
(文章を書き終わった後は必ず見直して推敲することが大切です)
いろいろな「磨く」を使い分けよう!
今回は、「磨く」に関連した英語表現を集めてみました。
日本語ではいろいろなものに使える「磨く」という動詞ですが、英語では使い分けが必要です。
まずは基本の「polish」を覚えてから、他の表現を試してみるとよいでしょう。表現の幅を広げるために、少しずつ英語に磨きをかけていきましょう。