昔、「プリティウーマン(ジュリア・ロバーツ主演)」という映画がありました。この映画タイトルから「pretty=かわいい」という単語を覚えた人も少なくないかもしれません。
でも、英語ネイティブの日常会話では「pretty much」という使い方もよく行われるので、「pretty」を「かわいい」と理解しているだけだと、戸惑ってしまうことでしょう。
今回は、ネイティブがよく使う「pretty much」の意味と使い方、そしてそのほかの「pretty」の意味について確認していきます。
副詞としての pretty
日本の英語教育で登場する「pretty」の第一意味は「かわいい」だと思います。「プリティウーマン」とあるように、女性に対して使うイメージがありますね。
私の母(日本人)なども「pretty」=「かわいい」と覚えていて、(こう言っては酷ですが)ちょっと場違いなときに「pretty」を使い、夫が「?」という顔をしていたこともありました。
実際の英会話では、日本語の「かわいい」に「pretty」は匹敵しません。「cute」の方が日本語の「かわいい」と等しいです。
だからといって、「pretty」に「かわいい」という意味がないわけではないのです。とりあえずは、私のお気に入り、ケンブリッジ辞書で調べてみましょう。
quite, but not extremely(かなり、だが、極端ではない)
https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/pretty
英英辞書の第一義として出てくるのは副詞としての意味です。日本語では「かなり」「けっこう」として訳されることが多いですが、「かなり」といっても「not extremely」とあるように「とても」とイコールではありません。
どちらかというと「まあまあ」「わりと」と解釈しておく方が間違いがないでしょう。
副詞ですので、あとに形容詞を置いて、形容詞の程度が「かなり」である、あるいは「まあまあ」であることを示します。
日本語でも「まあまあ」「わりと」という表現には、多少の幅があると思います。話している当人が「かなりそうだ」と思っているのか「とてもというほどではないが、そうだ」と思っているのが、受け取り方は微妙です。
She is pretty big.
(彼女はかなり大きい)
というと、
She is big.
(彼女は大きい)
というより、ややソフトな言い回しになります。
この場合の「big」には「太っている」という意味を含む可能性がありますが、「pretty」がクッションのように働き、ネガティブな意味を包みこんでいる雰囲気があります。
日本人も「まあまあ」という言葉を使うのが好きですが、ダイレクトな物言いをしたくないときには、とても便利な単語だと思うんですよね。だから、日本人の方にとっては非常に使いやすい言葉なので、もっと積極的に使ってみてもよいかもしれません。
Their house is pretty nice.
(彼らの家はとても素敵です)
また、辞書の定義にもありますが「pretty」は「quite」と同意義になります。「quite」も、話し手によって程度に幅がありますが、
I’m pretty sure that he will come. / I’m quite sure that he will come.
(彼が来ることをかなり確信している)
のような例文では、「わりとそう確信している」という意味になり「I’m very sure」とまでは行かなくとも「I’m sure」よりは「確信」具合が強調されていると受け取ることができます。
ただし「pretty」は「very」とは同じ意味ではないので、他人のことを褒めたいときにはあまりふさわしくありません。
You did a pretty good job.
(かなりいい仕事をしましたね)
といってしまうと、「良い仕事」の範疇かもしれませんが「perfect(完璧)」ではなく、何か小さな問題があって、完全に満足できるものではなかったのかな、という印象を持ってしまいます。
当たり前といえば当たり前ですが、相手のことを褒めたいと思うのであれば、
You did a good job.
と素直に(ストレートに)言ってあげる方がよいでしょう。
pretty much の意味
そして、この副詞としての「pretty」の使い方の延長線上にあるのが「pretty much」といういい方です。
英語ネイティブの会話を聞いていると、
Pretty much so.
(かなりそうですね)
という受け答えとして耳にすることも多く、印象に残る表現だと思います。辞書では「pretty much/well」は「almost」と同意義として紹介されています。
We have pretty much everything that we need.
(必要なものはほとんどすべてそろっている)
こういういい方、本当によく耳にします。
私の感覚的な部分もありますが、「pretty much」の方が「almost」よりも語気がやわらかいような気がします。
pretty=かわいい(形容詞)
そして最後になりますが、「かわいい」という形容詞的用法もあります。
pleasant to look at, or (especially of girls or women or things relating to them) attractive or pleasant in a delicate way
https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/pretty
見ていて楽しい、または(特に女の子や女性、またはそれらに関連するものについて)繊細な意味で魅力的である
辞書にはこのように定義されています。
「見ていて楽しい」「心地よい」という意味ですから、「beautiful」とはまたちょっと違うのですね。
プリティウーマンの主演、ジュリア・ロバーツを「beautiful」な女性というかどうか、個人差があると思いますが、意中の女性に対して使うなら、素直に「beautiful」というほうが喜ばれることは間違いないでしょう。