私がカナダに来てよく耳にするようになった表現に「keen」を使った言い回しがあります。
「keen」は「鋭い」という意味の形容詞で、日本の英語教育においても、まずこの意味で覚えると思います。
でも、ネイティブの日常会話では、「鋭い」以外の意味で「keen」がよく使われているんです。それは「~したい」という欲求や興味を表す方法です。
「~したい」「に興味がある」という意味で使える「keen」の使い方を紹介します。
「keen」の意味は?
「keen」は辞書では次のように定義されてます。
very interested, eager, or wanting (to do) something very much
https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/keen
(何かに対してとても興味を持っている、熱心である、あるいは何かをしたいと思っていること)
そのほかにも「強い」「鋭い」という意味を持ちますが、日常会話で最もよく使われるのは、上の意味だと思います。
My daughter is a keen football player.
(うちの娘はサッカーに熱心だ)
このように、名詞の前に置き、何かに対して熱心だ、得意だと表現することができます。
Since she watched that program, she has been keen on Yoga.
(その番組を見て以来、彼女はヨガに熱心だ)
上の例文のように、何らかの事柄について熱心だという場合は、それを表す名詞の前に前置詞「on」を置き、「keen on (名詞)」と使います。
この場合、「keen on」の後に動詞のing形を置くことも可能です。
She has been keen on practising Yoga.
(彼女はヨガの実践に熱心だ)
She is keen on playing football.
(サッカーをすることに熱心である)
She is keen on watching football games.
(彼女はサッカーを見るのが好きだ)
ちなみに、「keen on」はそのあとに人を置いて、その人に熱を上げている様子を表すこともできます。
He is keen on Ameri.
(彼はメリーに夢中だ)
keen on doing と keen to do の違い
「keen」を使った表現でよく見かけるのが、「keen on」と「keen to +動詞の原形」です。
「keen on」は後に動詞のing形を置き、「keen to」は動詞の原形を置くという使い方の違いがあります。さらに、意味に関しても、以下のような違いを指摘する人もいます。
- keen on doing(動詞のing形):~が得意だ(対象のことをやったことがある)
- keen to do(動詞原形):~したい(対象のことをやったことがない)
ただし、ネイティブによっては両方ともほぼ同じ意味で使うこともありますので、あまり神経質にならない方がいいようです。
例文でチェックしてみましょう。
She is keen on learning English.
(彼女は英語学習に熱心だ=すでに英語学習をしている)
She is keen to learn English.
(彼女は英語を勉強したがっている=まだ英語学習をはじめていない)
どちらもよく使われる表現です。意味に若干の差はあるようですが、意識しないネイティブもいます。ですので、あまりその違いは気にしないでよいと思います。
ただ、「keen to do」とした方が「~したい」気持ちが強まり、その行為をできるだけ早く始めたいと熱望しているような印象を与えるようです。
He is keen to start his own business.
(彼は、ビジネスを始めることに意欲的だ)
先に説明した違いにはあまりそぐわなくなりますが、実際には、こういう言い方も行われています。
He is keen on starting his own business.
(彼は、ビジネスを始めることに意欲的だ)
否定文の中で使われるkeen
実は、この「keen to」あるいは「keen on」という表現は、否定文の中でも非常によく使われます。
否定文にすると「~したいとは思わない」「~に対して意欲的でない」という意味になります。つまり、「don’t want to」や「don’t like to do」と同じですが、「don’t want to」や「don’t like to do」だとやや直接的な口調になってしまうので、それを避けて「keen」を使うようです。
What do you want to eat tonight? How about that seafood restaurant?
(今夜、何食べたい?海鮮レストランはどう?)
Oh, to be honest with you, I am not very keen on seafood.
(あ、正直言うと、シーフードはあまり得意じゃなくて…)
My boss wanted me to take care of the company’s website, but I was not keen on digital marketing at that moment.
(上司は私に会社のホームページ管理を任せたかったようですが、私は当時デジタルマーケティングには興味がなくて…)
He doesn’t seem very keen on working with us.
(彼は私たちと仕事をすることにあまり乗り気ではないみたいだ)
否定文で使われる場合は、「not so keen」という形でもよく使います。
She loved to keep in touch with him, but he was not so keen.
(彼女は彼と連絡を取り合いたかったみたいだが、彼はそれほど乗り気ではなかった)
「keen」を日常会話で使いこなそう!
今回は、日常会話でネイティブがよく使う「keen」の意味と使い方を紹介しました。
この意味の「keen」は、特にイギリス英語にて頻繁に使われているように思います。
「~したい」=「want to do」で覚えている人は多いと思いますが、そのほかの表現として「keen」も使いこなせるようになっておくと表現の幅が広がります。
否定文においては、やんわりと乗り気でないことを伝えることができるので、非常に便利です。ぜひ、試してみてくださいね!