日本語で「頭痛が痛い」というと、それこそちょっと「イタイ」表現になってしまいます。
これは、頭痛という単語の中に「痛い」ということが含まれているため、「頭痛が痛い」といってしまうと意味が重複するからです。日本語としてはイケてない表現ということになりますね。
それで、ふと、英語の場合はどうなのかな?と思ったのが、このエピソードを書くきっかけになりました。
まずは、痛みを表す英語についておさらいしておきましょう。
hurt
「hurt」は痛みの表現として非常によく使われる動詞ですが、日本人の英語学習者の中にはちょっと使いづらいと感じる人もいるかもしれません。
Does it hurt?
(痛い?)
It’s still hurting.
(まだ痛むよ)
「hurt」は目的語を取り、「~を傷つける」「傷める」というふうにも使います。
Too much exercise could hurt you.
(過度な運動はあなたを傷つけることがある)
誰かが他の誰かを傷つけることもあります。
You hurt me.
直訳すると「あなたが私を傷つける」という意味になりますが、相手の行動によって痛みを感じるとき、こういって「痛いんだけど」と伝えることもあります。
また、「hurt」は現在形も過去形も同じ形なので、過去のことに対して「あなたの行動によって傷つけられた」といっているのかもしれません。
また、このフレーズでは、身体的に傷つけられたという意味だけでなく、精神的に傷つけられたことを表すこともできます。
Can you move your feet? You are hurting me.
(足を動かしてくんない?痛いんだけど)
こちらはもうちょっと意味が明白になり、相手の足によって、痛みが生じている状況です。満員電車の中で誰かがあなたの足を踏んだりして、でもその相手はそのことに気づいていないときなどは、相手にこういって痛みを伝えましょう。
pain
「pain」は日本人にも使いやすい単語だと思います。「I have a pain in my~」「I feel pain in my~」の形で覚えておきましょう。
I have a pain in my arm.
(腕に痛みがあります)
I feel pain in my arm.
(腕に痛みを感じます)
上の二つの文は同じ意味になります。
I am in pain.
という表現もあります。この場合、身体的に痛いという意味と、心理的にツラいという意味の両方の可能性があります。
医者や看護師には、
Are you in pain?
(どこか痛みはありますか)
と聞かれたりします。
形容詞「painful」も使いやすい表現です。
It’s painful.
(痛い/ツラい)
It was painful.
(痛かった/ツラかった)
肉体的に痛い場合もあれば、心理的につらい場合、さらに思わぬ事情により出費がかさんだ場合にも「It was painful.」ということがあります。
ついでに、「鎮痛剤」として使われるのはやはりこの「pain」の痛さで、鎮痛剤は「painkiller」といいます。
sore
比較的軽い痛みを表す場合、「sore」という単語を使います。
My arm is sore.
(腕が痛い)
I have a sore back.
(背中が痛い)
「back」は背中ですが、割と低い位置の背中までを「back」と解釈するネイティブが多いように思います。そのため、日本人がいう「腰が痛い」も「I have a sore back.」の範疇に入る場合があります。
ache
痛みを表す表現に「ache」もあります。動詞として使い、
It’s aching.
(痛い)
というと、「hurt」の痛みよりももう少し強くずきずき傷んでいるニュアンスになります。
また、「ache」は身体の部位を表す単語と結びついて「~痛」という意味でもよく使われます。
I have a headache.
(頭痛がする)
I have a stomach ache.
(胃が痛い)
さて、やっとのことで表題の件ですが、日本語で「頭痛が痛い」というと、意味が重複しているためあまり正しくないといわれます。これを英語で言うとどうなのでしょうか。
✕ My headache is aching.
✕ My stomach ache is hurting.
ネイティブの夫に聞いてみましたが、やはりこの表現は英語でもヘンだといわれました。ここは日本語と同じ感覚で正しいようです。「My stomach is aching.」あるいは 「I have a stomach ache.」といいましょう。
ただし、
My headache is very painful.
(頭痛がむちゃ痛いんだけど)
は、OKみたいです!
なぜなら、painfulは「かなり痛い」ということを指し、headaheの中にはそれほど痛くない頭痛もあるためだ、というふうに説明されました。
A: Is your headache still hurting?
(頭痛、まだ痛む?)
B: Yes, it’s very painful.
(うん、すごく痛い)
A: Take a painkiller!
(鎮痛剤を飲みなさい)
私たちは頭痛持ちではありませんが、ときどきこんな会話をすることがあります。二日酔いの頭痛というケースも多いのですけれど。