小池都知事からのアナウンスで、2020年のゴールデンウィークに関して「STAY HOME週間」宣言がありました。
新型コロナウイルスの流行以来、「STAY HOME」は、英語圏では至る所で見たり聞いたりするフレーズで、それがやっと日本にも導入されたようですね。
ところで、この「Stay home」というフレーズを見て、あれっと思った人もいるのではないでしょうか。学校の英語教育では「Stay at home」と「home」には「at」をつけましょうと習った人もいると思います。
すると「Stay home」というフレーズには「at」が欠けているように見えますね。「Stay home」は英語文法的に間違っているのか、また「Stay at home」とは何が違うのかについて、まとめてみました。
Stay homeとStay at homeとの違い
Stay homeもStay at homeも、どちらも「家にいる」「家に留まる」ということを意味しています。実はこれ、2つとも文法的に間違っているわけではないんです。
そもそも「home」という単語は特殊で、「家」という意味の名詞と「家で」「家に」という意味の副詞としての働きをもっています。そのため、Stay at homeというときは「home」は名詞として機能しており、一方Stay homeという場合には、「家で」という副詞として機能しているのです。
Stay homeはどちらかというとアメリカ式
homeが副詞として機能する場合、go、come、take、bringのような動詞を伴うことが多いです。これらの動詞の後でhomeを使うときは、前置詞を置かずそのまま「home」とすることが多いのです。
(暗くなってきた。家に帰るべきじゃない)
(彼は通常6時までには帰宅する)
(彼女疲れてるみたいだったから、連れて帰ってきたの)
(心配しないで。パーティが終わったら家まで送るから)
(ママはもうすぐ家に帰ってくる)
ですので「Stay home」といういい方も文法的にはまったく間違いではありません。ただ、「Stay home」はどちらかというとアメリカ英語でよく使われるらしく、イギリス英語では「Stay at home」の方が好まれるようです。
Stay homeは語呂がいい
ですので、新型コロナウイルス流行があって「Stay home」が叫ばれるようになってからも、イギリスのメディアでは「Stay at home」と表していることの方が多いようです。
ちなみに、カナダはイギリス英語にもアメリカ英語にも影響を受けているところがあって、Stay homeはそのままStay homeと使われる方が多いように思います。ラジオでも、定期的にStay homeを呼び掛けていますが、やはり「at」は抜きでこんなふうに使われています。
Stay home if you can.
(できるなら、家にとどまってください)
Stay homeが耳につくのは、語呂がいいからというのも理由の一つのようです。
英語圏では、このような表示をよく見かけます。
Stay home. Stay safe. Save lives.
スローガンとして語呂がいいので、すっかり「Stay home」で定着してしまっていますね。
これがイギリスに行くと、
stay at home, protect the NHS, save lives
と、ちゃんと「at」が入っていますね。笑。
NHSとは「National Health Service(国民保健サービス)」のことでイギリスの国営医療サービス事業のことを指しています。
つまり、家に留まる(stay at home)ことで、医療事業をスムーズに行う(protect the NHS)ことになり、その結果、命を救う(save lives)ことにつながる、という意味なのでしょう。各個人が家に留まることが医療崩壊を防ぐことになるのです。
Stay homeの方がインパクトがある
おそらくアメリカ英語に触れている人は、普段の会話から「Stay home」と「at」抜きで使うことが多いのでしょう。私はどちらかというとイギリス英語の環境にいるので、「Stay home」というフレーズはそれだけに強いインパクトを感じる表現でもあります。
二音節というシンプルさが、耳に残るのですね。さらに、単純に「家にいる」という意味以上に「危機を乗り越えるために自宅待機する」というふうにも聞こえます。今のこの風潮の中で使用されている「Stay home」なら「自宅待機」と日本語訳する方がしっくりくるかもしれません。
SNS上ではすでに、StayHomeというハッシュタグもできていて、ますます「at」がない方の言い方が定着しそうな雰囲気もします。
Stay home. Stay in Tokyo. Save lives.
Stay home. Stay in Tokyo. Save lives.
東京都が発表した、STAY HOME週間のスローガンです。他の都道府県も同調していくのではないかと予想されます。
英語圏ではすでに新型コロナウイルス感染予防のスローガンとして耳慣れてきたStay homeですが、日本でも共通認識として定着させたいという意図があるのでしょう。
英語圏ではStay Homeを含む、Social Distance方式が感染予防に効果を表してきているとポジティブに受け取られています。日本でもSTAY HOME週間宣言が、感染拡大抑制に大きな一歩となればいいですね。