仮定法過去完了といえば難しいイメージを持っている人も多いでしょう。ですが、英語ネイティブは意外と頻繁に日常会話の中で使っています。
とりわけ仮定法の主節「Might have done/Might’ve done」を含む部分は、if節(従属節)をともなわず単体で使われることも多いんです。それだけに、サラッと会話の中に登場するので、英語学習者にとっては聞き取りにくいのですよね。
仮定法過去完了は、がっつりと勉強するのではなく、まずこの主節部分にあたるフレーズが使えるようになるだけでも英会話に役立ちます。
今回は、英語ネイティブ並みに仮定法過去完了を使いこなそう!というシリーズでお届けしています。この記事では、「Might have done/Might’ve done」の使い方に集中して紹介します。
仮定法過去完了の構造
前回の記事、「would have done」の使い方でも紹介していますが、復習しておきましょう。
仮定法過去完了の構造はこうなっています。
If had done(動詞過去完了形) ~, S(主語) might (may) have done(動詞過去完了形) ~.
この構文では、Ifで始まる部分を「従属節」、もう片方の部分を「主節」と呼びます。この文の中では、どちらかというと「主節」の方が重要な部分になります。ですから、「主節」と呼ぶわけですね。
とにかく、仮定法過去完了では、主節の動詞は助動詞+have done(動詞過去完了形)という形になります。ここで使われる助動詞は、might (may) 以外にもたくさんありまして、これはこのシリーズの中で一つずつ紹介していきます。

仮定法過去完了Might (may) have doneが聞き取りにくい理由
仮定法過去完了の構文では、主節(might have doneを含む部分)と従属節(ifで始まる部分)とがありますが、英語ネイティブとの会話では、主節のみがフラッと出現することは非常に多いです。
if節の部分は、話し手と聞き手がともに了解している限り、省略されることがしょっちゅうなんですね。だから、英語学習者は、会話の中にさりげなく使われた仮定法が聞き取りにくく感じてしまいます。
これを克服するには、自分で積極的に「might have done/may have done」を使ってみることです。「might have done」はmightとhaveがくっついて「might’ve」と短縮されることも多いです。「t」と「’ve」という二つの子音が重なるので、ちょっと発音しにくく感じますが、「t」の後にすぐ下唇を噛むだけです。思い切って発音してみてください。
ちなみに、この「might’ve」の部分は、文章の中ではそれほど重要な要素ではありません。だから余計にサラッと発音されるのですが、自分が口に出していうときもそれほど構えることなく発音すればすむわけです。重要なのはむしろその後に続く動詞過去分詞の方ですので、それに向かって一気に発音するようにしてみてください。
過去の可能性を推測するMight have done/May have done
「might」は助動詞「may」の過去形です。いずれも「~かもしれない」という意味を持っていますが、過去形「might」を使うことで可能性がより小さいことを表したり、婉曲的に表現することができます。
仮定法過去完了の主節としては、いずれも「~だったかもしれない」という過去に対する推量を表します。「might have done」も「may have done」も両方使いますが、どちらかというと「might have done」の方がよく耳にするような気がします。
(どうしてパーティのことを彼にいわなかったの?彼は来たがったかもしれないのに――さあね、いずれにしても彼は来なかったかもよ)
この会話では、「もし彼にパーティのことを知らせていたら」という仮定節が省略されています。
(幸いなことに、ストライキのまえに出発することができた。そうでなければ、駅で立ち往生していたかもしれない)
以前にも紹介しましたが、「otherwise」は「さもなくば」という意味で使えるとても便利な単語です。if節をくどくど言わなくて済むので、仮定法初心者はぜひ覚えておきましょう。
単体で使われるMight have done/May have done
「might have done」「may have done」は、if節なしにそれだけで使われることの方がむしろ多いといってよいでしょう。仮定法過去完了に使える助動詞として紹介されていますが、実際に英語ネイティブは仮定法を意識しないで使うことの方が多いです。
単体で使う場合は、「~だったかもしれない」という意味で過去に対する推量として用いられます。
(前にも言ったかもしれないけど、君はきれいだ)
(私たち、初めて会った時から恋に落ちていたのかもしれない――あるいは、出会う前からかも)
(泥棒は窓から侵入したのかもしれない。あるいは私がカギをかけるのを忘れたのかも)
(彼は、僕たちが一週間留守にすることを知っていたのかもね)
Might have done/May have doneの否定形
「might have done」の否定形では、「might not have done」と「might have not done」の両方を耳にすることがあります。
I didn’t get any responses from him yet. — He might have not seen your message yet.
(彼からの返事がまだこないんだ。――まだあなたのメッセージを見ていないのかもよ)
mightやmayのような助動詞は、文法上、否定形にするときはその直後にnotを置くことになっています。ですので、文法上は「might not have done」の方が正しいのかもしれません。
ただ、have+動詞過去完了を否定形にする場合はhaveの後ろにnotを置くので、「might have not done」のような言い方もときどき行われるのかなという気がします。
実際の会話では、どちらの言い方も行われるようですが、文法的には「might not have done」の方が正統派だと思われますので、こちらの方が「しっくりくる」というネイティブの意見もあります。
どちらかが間違っているのか、どんなふうにニュアンスが異なるのかについては、英語ネイティブでの間でも意見が分かれるようです。英語学習者としては、助動詞の直後にnotを置く方で覚えておくのが良いかと思われます。
婉曲的に相手を非難するMight have done
よく英語は日本語に比べると直接的に伝えるといわれたりしますね。でも、そんな英語にも、豊かな婉曲表現があります。
相手を非難したいとき、苦情を言いたいときでも、直接的にいうよりもやわらかく言うほうがことがすんなり運ぶことも多いものです。人間関係をスムーズにするためにも、婉曲表現は覚えておきたいですね。
「あのときこうすればよかったのに」と相手を非難したいとき、「shoud have done(~すべきだったのに)」といういい方があります。でも、この言い方はちょっときつく聞こえることもあるので、口調をやわらげたいときには「could have done」や「might have done」を使うのがおすすめです。
- You should have told me about it earlier.
(あなたはもっと早くそのことを私に言うべきだった) - You could have told me about it earlier.
(あなたはもっと早くそのことを私に言うこともできだだろうに) - You might have told me about it earlier.
(あなたはもっと早くそのことを私に言えたかもしれない)
(傘に気を付けて!もうちょっとで私を刺したかもしれないよ)
(火の扱いに気を付けて。うちの家を焼いちゃったかもしれない=もうちょっとで家が火事になるところだったでしょ)
(彼の運転、飛ばし過ぎだと思わなかった?私たち事故るんじゃないかと思ったわ)
Might have done/Might’ve doneの使い方まとめ
仮定法過去完了を日常会話で使いこなそう!というシリーズで紹介していますが、「Might have done/Might’ve done」は、どちらかというと単体で使われることが多いフレーズでもあります。
それだけに、使いやすいと感じるかもしれませんね。
過去の出来事に対する推量として「~だったかもしれない」というときには、ぜひ使ってみてください。きっと会話が弾むはずです。


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