「イライラする」を英語でいうとき、AnnoyやIrritateといった代表的な動詞以外にも「イライラ」を表現する英語フレーズはたくさんあります。
また、何に対してイライラしているのか、その対象や理由も英語で表現できるようになりたいですよね。
「イライラする」に関連した英語表現、使える動詞やイディオムとその使い方についてまとめました。
- まず覚えておきたいAnnoyed / Annoying
- 欲求不満でイラつく時はFrustrated / Frustrating
- 神経を逆なでするイライラIrritated / Irritating
- ストレス感じてイライラするStressed out
- 邪魔になるイライラはDisturbing
- 婉曲的イライラはUncomfortable / Not comfortable with
- 飽き飽きするイライラはTired of
- うんざりしたイライラはFed up with
- フォーマルでは使えないけどPissed off
- イライラ過ぎてバナナになる?Drive crazy / nuts / bananas
- 「イライラする」に関する英語表現バリエーションを覚えよう!
まず覚えておきたいAnnoyed / Annoying
「イライラする」の代表的な英語表現が、動詞「annoy」を使った表現です。
「イライラする」という意味で使える表現はこのほかにもたくさんあって、順次紹介していきますが、動詞を使った「イライラする」の英語表現には使い方で少し注意したい共通点があるので、ここでまとめてポイントをおさえておきましょう。
「イライラさせる」系他動詞の使い方
「annoy」は「イライラさせる」という他動詞で、「(誰かが)イライラしている」という状態を表す場合には「be動詞+annoyed」というふうに受動態にする必要があります。
逆にイライラさせられる対象を主語に取り「X is annoying」とすることもでき、この場合は「Xに対してイライラする」「Xはウザい」といった意味になります。以下の二つの文を比べてみるとよく分かります。
- She is annoyed.(彼女はイライラしている)
- She is annoying.(彼女にはイライラさせられる)
下の文は、彼女自身が「ウザい」存在であるということを述べており、上の文とはまったく違った意味になります。
イライラする状態と感情、テンスとアスペクト
「イライラする」を他動詞を使って表現する場合、be動詞、あるいはそれに準じた動詞を使うことによって、状態の微妙なニュアンスを描き出すことができます。
「annoy」という動詞を例にとると、次のような表現が可能です。
- be annoyed 「イライラしている」(状態)
- feel annoyed「イライラを感じている」(感情)
- get annoyed 「イライラした」(状態の変化)
- X is annoying「Xにはイライラする」(感情の対象)
一つの例文を4種に変化させて比較してみましょう。
- She is annoyed with the noise.
(彼女は騒音にイライラしている) - She felt annoyed with the noise.
(彼女は騒音にイライラを感じている) - She got annoyed with the noise.
(彼女は騒音にイライラした) - She said, “That noise is annoying!”
(彼女は言った「あの騒音イライラする!」)
基本のアスペクトを紹介しましたが、もちろんその他にも表現方法はさまざまです。工夫しだいで変化をつけることができるので、いろいろ試してみましょう。
(彼女はあの騒音に対してイライラし始めた)
イライラの対象を明らかにする表現
「イライラする」という動詞「annoy」を受動態の形で使用するとき、イライラの対象となるものや人は以下のような方法で表すことができます。
- with (someone) for doing something:(人)が~するのにイライラする
- at/by (something/someone):(事/人)に対してイライラする
- to do (something):~してイライラする
- that節:~ということにイライラする
使い方の例を挙げておきます。
- She is annoyed with him for saying that.
(彼女は彼がそう言ったことにイラついている) - She is annoyed at the way he said that to her.
(彼女は、彼が彼女の言い方についてイラついている) - She is annoyed to know that he said that.
(彼女は彼がそう言ったことを知ってイラついている) - She is annoyed that he said that to her.
(彼女は彼がそう言ったことにイラついている)
4つの文、内容的に同じようなことをいっていますが、微妙にニュアンスが違いますね。
補足しておくと、一見「be anooyed」の後にすぐthat節を伴っているように見えても、以下の例文のように「so~ that~」構文になっていることもあります。
(彼女はイライラするあまり、別れ際に彼に対して手を振りさえもしなかった)
小さな単語「so」が挿入されていることを見逃してしまいそうですよね。以下の文と比較してみましょう。
(彼女は、彼が別れ際に彼女に対して手を振りさえもしなかったことにイラついていた)
Annoyed / Annoyingを使った例文
前置きが長くなりました。動詞「annoy」を使った例文を紹介しておきましょう。
「annoyed」を英英辞書で調べると「angry」と同意だと書かれています。私たちの「イライラする」という感情よりも比較的強い意味になりそうですね。
(彼女は、彼が遅れてやってきたことにイラついていた)
(彼は上司が新プロジェクトに関する企画書を却下したそのやり方にイライラを感じていた)
(彼女は夫がいつも冷蔵庫の中の牛乳を見付けられないことにイライラしている)
(彼女の夫は、妻が大金を化粧品につぎこんでいることを発見してイラっとした)
(みんなが私の名前をいつも間違って発音することがすごくイライラするの)
欲求不満でイラつく時はFrustrated / Frustrating
「frustrated / frustrating」は、「物事が上手く進まなくてイライラする」ときに使われる表現です。上に紹介した「annoyed」と違って、何も理由がなくて「イライラする」場合にはしっくりこないので、注意しましょう。日本語では「欲求不満を感じている」と訳されることもあります。
何らかの理由があることが前提で使うことが多いので、「I’m frustrated.」といったときには、それを聞いたネイティブはかなりの確率で「Why?」と理由を尋ねてきます。逆に相手が突然「I’m frustrated.」と切り出したときには、理由を聞いてほしがっていると考えられるので「What’s up?」などと聞いてあげるとよいでしょう。
(彼は仕事に欲求不満を感じている)
(彼女は手術の後外出できないことにイライラしている)
(彼らはコンサートが新型コロナウイルスの影響で中止になったことを知ってイライラした)
(彼はいつも私のいうことを聞いていないの、それがイライラするのよね)
(子供たちは家に留まることを強制されてイライラしている)
神経を逆なでするイライラIrritated / Irritating
「irritated / irritating」は「annoyed / annoying」と同じ感覚で使うことができます。私は、英語ネイティブが使う頻度は「annoyed / annoying」ほど高くないという印象を持っていますが、日本の英語教育では受験英語としても出てきますので、見たことがあるという人もいるでしょう。
(彼は彼女の質問攻めにあってイライラしている)
(同僚がタバコを吸いに席を外すたびにイラっとするのよね)
(隣でへんな音を立てている男に対して彼女がイラついていることが感じられた)
(私が車のキーをインキ―したから彼はイラついた)
(貧乏ゆすりをやめてもらえませんか?けっこうイライラするんで)
ストレス感じてイライラするStressed out
日本語でも「ストレスを感じる」といいますが、「ストレスを感じてイライラする」は「stressed out」で表現することができます。
この記事を書いている時点、新型コロナウイルスの影響でイラついている人が増えています。
(彼は仕事に行きたいのに自己隔離しなくてはいけなくなってイライラしている)
(市がロックダウンされてみんなイライラしている)
(私たちはフライトがキャンセルされたというアナウンスを聞いてイライラした)
(市長はルールに従わない人々がいることに気づいてイライラしている)
ストレスを与える対象については「X is stressful.」という言い方をよくしますが、こういってしまうとちょっと「イライラ」よりもやや強い意味あいになります。
(彼女はストレスの大きな仕事に就いている)
邪魔になるイライラはDisturbing
「disturb」は「邪魔をする」「を妨げる」という意味の他動詞です。これを使って「X is disturbing.」とすると、何かに邪魔されて集中できないときの「イライラ」を表現することができます。
(貧乏ゆすり、やめてもらえませんか?ちょっとイライラするんで)
(電車の中で他人が携帯で話しているのはすごくイライラする)
(彼女は重箱の隅をつつくような質問ばかりしてきて、ときどきイライラするんだよね)
(ルームメイトがつけっぱなしにする小さな灯りが、眠りたいときの私にはウザい)
婉曲的イライラはUncomfortable / Not comfortable with
「イライラする」というネガティブな感情は、正式な場所や上司・恩師などに向かっていうときには直接的な表現がはばかられることもありますよね。そのようなシーンでは「uncomfortable(快適でない)」という形容詞や「not comfortable with」という言い方で「イライラする」気持ちを表すことができます。
たとえば、同僚のことを上司にクレームしたいときには、こんなふうに説明すると角が立ちにくいかもしれません。
(彼女がいい人だってことは分かってます。でも、ときどき彼女にしっくりこないこともあって、なぜかというと、隣でいつも変な音を立てているし、何をやってるかは知りませんけどよくデスクを離れるし、それに、ほら、重箱の隅をつつくような質問ばかりするんです。それと…)
飽き飽きするイライラはTired of
「I’m tired.」というと「私は疲れた」という意味になりますが、あとに「of」を伴って「~に飽き飽きしている」「イライラしている」という気持ちを表すことができます。
例えば、同じことの繰り返しや退屈な作業に対してイラついているときなどによく使われる表現でもあります。
(毎日同じことをすることには飽き飽きしてるのよ)
(彼は新しい彼女があれこれと彼に指図することに対してすでにイライラし始めている)
(彼女は彼がいつも遅れてくることに飽き飽きしている)
うんざりしたイライラはFed up with
「tired of」がグレードアップした感じなのが「fed up with」です。「イライラ度」がさらに高くなって「うんざりするようなイライラ」を表現してくれます。
軽い「イライラ」ではなく、「かなりイライラ」きているときに使います。
(君にはもううんざりだ!)
かなりキツイ言い方です。よほど、その人との関係をすっぱりと断絶してしまいたいとき以外には使わないことをおすすめします。
(あんたがむちゃくちゃにしたあとを片付けて回ることにはうんざりしているのよ)
(彼は平凡な生活にうんざりしている)
(彼女は、その工場で来る日も来る日も機械のように同じ仕事を続けることにイライラしていた)
フォーマルでは使えないけどPissed off
これはスラングですが、「イライラする」という意味で「pissed off」という言い方もあります。フォーマルな場面では使わないことをおすすめしますが、英語ネイティブはよく使うので、耳で聞いたときに理解できるようにはなっておきたいものです。
「piss (someone) off」の形で「(人)をイライラさせる」という表現になります。
(彼女にはイライラする!)
なとどいった言い方は、英語ネイティブはよく使っています。
(プロジェクトが上手く進まないことに上司はイライラしている)
(彼女はどうでもいい質問を大量にしてきて、それがイライラするのよ!)
イライラ過ぎてバナナになる?Drive crazy / nuts / bananas
「イライラする」「うんざりする」という意味の表現に「X drive(s) (someone) crazy.」という言い方がありますが、そのバリエーションがいろいろあります。
- It drives me crazy.
- It drives me nuts.
- It drives me bananas.
- It drives me insane.
- It drives me up the wall.
「It drives me nuts.」と「It drives me bananas.」は、たとえ私(me)が一人でも複数形になります。なんで、ナッツ(木の実)やバナナなのかはわかりませんが、慣用句ですのでこのまま覚えてしまいましょう。
(彼女には本当にイライラする!)
(彼が忙しくなるといつも姿をくらますのにはイライラする!)
「イライラする」に関する英語表現バリエーションを覚えよう!
「イライラする」とはあまり好ましくない感情ですが、そんなときには気持ちを吐き出すことも大切です。イライラした気持ちを誰かに聞いてもらうことですっきりすることもありますよね。
英語には「イライラする」に関連した表現がたくさんあります。
いつも通り一遍の表現方法でなく、さまざまな言い方を覚えておけば、ぴったりと言いたいことを言えるようになると思いますよ。